9/28横須賀基地
米原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)海上抗議行動に参加して


 米原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)が9月25日横須賀入港を強行した。米本土外の基地が原子力空母の母港となるのは世界で初めてであり、もちろん日本でも初めてのことである。これによって、米軍横須賀基地は中国、北朝鮮への軍事的牽制と脅威を高め、アジアから中東、すなわちイラクやアフガニスタンへの緊急展開能力を飛躍的向上させることになる。米軍の侵略拠点としての日本の意義を高める極めて危険な動きである。
 5月には横須賀に向け太平洋を航行中のジョージ・ワシントンで大きな火災が発生し、8月には、半年以上にもわたって原子力潜水艦ヒューストンが放射能を漏らしながら日本にも寄港していたことが明らかになった。首都圏に突如巨大な原子力発電所ができるのに等しいという放射能汚染と重大事故の危険性の点からも決して受け入れることが出来ない。
横須賀、沖縄でも放射能漏れ/米海軍原子力潜水艦(カナコロ)
米原子力空母:「ジョージ・ワシントン」で火災 横須賀配備の途上(毎日新聞)

 横須賀市では、原子力空母の配備及び安全性を問う住民投票条例制定の直接請求署名が1ヶ月で5万筆以上も集まり、世論調査でも7割が反対となるなど市民の大半が配備に反対してきた。7月19日には、1万5千人が結集する“原子力空母の横須賀母港化を許さない7.19全国集会”が行われた。9月25日直前には連日の座り込みが行われ、当日は3000人が反対集会に参加するなど、反対の声が渦巻く中での入港強行だった。             
[速報]原子力空母の横須賀母港化を許さない7.19全国集会 1万5千人が大結集 前日の辺野古移設反対決議で勢いづく(署名事務局)
米原子力空母「ジョージ・ワシントン」横須賀母港化反対の座り込み始まる(JANJANニュース)

 私はこの暴挙に対して、9月25日の抗議行動に行って抗議したかったが、日程の折り合いがつかず、行けなくて大変悔しい思いがした。何とか9月28日に横須賀へ行って、ヴェルニー公園からでも、GWに対して、抗議の声をあげてきたいと思い、行動した。その公園からはGWは隠れて、見えないことは想像できていた。現地闘争本部のホームを見て、ヨコスカ平和船団が9月28日海上抗議行動を行い、誰でも参加できるということを知ることができた。連絡を取り、参加できることになった。
 行動に先立って、私自らの独自フィールドワークを行い、海上抗議行動ではGWに対して「NO! CVN(原子力空母)」「ジョージ・ワシントンGO HOME!」と抗議することができた。今後もGW母港化反対で行動していきたいと思いを一層強くした。

 行動日程は以下である。
・9月27日夜22時15分大阪・難波から神奈川県鎌倉行き夜行バスで出発。
・28日朝6時42分鎌倉駅着。鎌倉からJRで横須賀駅。
・7時から独自のフィールドワーク。ヴェルニー公園。公園横のホテルトリニテイ19階のレストランから GWを視察。
・9時30分に京急追浜駅から深浦ボートパークの集合場所へ移動。
・10時ヨコスカ平和船団主催の原子力空母GW海上抗議行動と横須賀軍港フィールドワーク出発。
・11時10分抗議行動・横須賀軍港フィールドワーク終了。

行動の概略:
(1)独自フィールドワークでは、横須賀米軍基地を臨むヴェルニー公園からは、GWの船橋の一部がわずかに見えるだけ。「やっぱり見えにくいところに配備している」と言うのが率直な感想。ホテルの19階のレストランからGWを視察。遙か先にGWが見える。「空母キテイホークはバースに完全に収まっていたが、GWは先頭がかなりはみ出している。確かに大きい」ということが確認できた。

(2)10時からのGW海上抗議行動と横須賀軍港フィールドワークに出発。
・浦郷倉庫地区(弾薬庫)→危険標識のマークが見えた。裏山全体もくり抜かれ弾薬庫にしている。一体どのくらいの弾薬を持っているのか、爆発したらどうなるのかと思うと恐怖を感じた。
・岸壁に自衛艦「あたご」に衝突された漁船「清徳丸」の残骸が青いビニールシートを被せて、置かれていた。加害者がなぜ「物証品」を持っているのか疑問を感じた。
・比与宇弾薬庫→危険の標識、火災時には水をかけてはいけないという標識など、危険なことをひしひしと感じた。
・米軍第2給油所(戦闘機用ジェット燃料を厚木基地に輸送するシステム)→現在は使用されていないが、それでも日本政府の「思いやり予算」が継続してつぎ込まれているということだった。一体どういうことなんだと疑問を感じた。
・自衛隊吉倉桟橋→最新鋭ヘリを11機搭載できる自衛艦「ひゆうが」の専用岸壁が建設されていた。
・海上自衛隊潜水艦基地→自衛艦の出発式のようなことが行われていた。
・米海軍イージス艦→原子力空母GWが停泊しているので、機動部隊を組むイージス艦がたくさん停泊していた。
・原子力空母GW→大きさは、海面の下に15m、航空甲板までが10m、甲板からマストの先までは10mあるといわれ、見た実感としても「無茶苦茶でかい」と思った。甲板には、艦載機が載っていた。

(3)原子力空母GW海上抗議行動と横須賀軍港フィールドワークに参加して感じたこと
・GW配備の狙い→空母キテイホークとGWとの戦力比較すれば、どういうことがわかるのか。1例として、GWはジェット燃料9000トン搭載に対して、通常型キティホークは7000トンで、戦闘機の攻撃の継続性がアップする。GWの動力は原子力で、燃料を12年交換せずに行動できるといわれており、戦闘の継続性に重点が置かれていると考えられる。
・GWはなぜ戦闘機を積んだまま入港したのか→10月4日、5日の韓国への出動があり、戦闘機の着艦資格取得の件で、搭載したまま入港したのではないかと考えられる。


海上抗議行動には最初から最後まで海上保安庁の警備艇が張り付いていた。抗議船が、米軍横須賀基地に近づくと、米海軍の警備艇が近づいてきた。GWの前には金網がはられ、船舶の進入をバリケードしていた。GWに対して、ヨコスカ平和船団と参加者は「NO.CVN(原子力空母)」「ジョージ・ワシントン・GO HOME!」などをコールし、抗議行動を行った。この写真の題は、「アメリカの軍艦を日本の市民から防衛する海上保安庁」というところだろう。

米軍横須賀基地に停泊している原子力空母ジョージ・ワシントン。艦載機を70機搭載していて(1部は厚木基地へ移動)、甲板にその一部が見えている。

自衛隊の弾薬庫。

自衛艦の横に漁船清徳丸の遺品が青いビニールシートで覆われていた。

米軍弾薬庫。

自衛艦ひゅうがの専用岸壁を建設中。

2008年10月10日
リブ・イン・ピース☆9+25 KB