2009年12月11日に那覇地裁により、米軍ヘリパッド建設反対行動を行った住民2名に対して、その反対行動を制限する内容の仮処分が決定されました。その処分を無効にするための署名活動です。仮処分申請をした沖縄防衛局が2010年2月1日までに民事訴訟の提訴に踏み切らなければ、この仮処分は無効になります。この署名は沖縄防衛局が裁判所に提訴しないように要請するものです。署名の第一次集約は1月15日、第二次集約は1月25日、時間が迫っています。 *司法手段を利用した住民運動の封じ込め ヤンバルクイナなどの希少生物の生息地としても知られる沖縄県東村高江の集落を囲むようにして現在6つのヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)が建設されています。「自分の家で普通に暮らすために」住民たちは2007年7月から工事中止を求め、工事現場の前で座り込みをしたり説得や監視活動を行ったりしてきました。 国は高江の反対住民を弾圧し反対行動を封じ込めるために、2008年11月25日にこれらの監視行動を「通行妨害」とでっち上げ、15人を対象に道路交通法違反で仮処分を申請しました。当初はその中に8歳の子どもまでが含まれていました。 司法手段を利用して住民運動を弾圧するという前代未聞のやり口はとても許されるものではありません。 2009年12月11日、那覇地裁でこの仮処分申請に対する決定が行われました。さすがにそのほとんどの対象者に対して裁判所は仮処分申請を却下し、「政治的な信条に基づく行為である限り、尊重されなければならない」と、座り込み、監視・説得活動を正当な表現活動として認めるという常識的な判断を出しました。 ところがその一方で、「ヘリパッドいらない住民の会」の共同代表3名のうち2名にあたる人たちに対しては「特定の土地への立ち入り」を制限するという仮処分を出したのです。(この2名も従来の座り込み監視・説得活動が禁止されたわけではありません。)これはやはり運動に対する圧力に他なりません。 *仮処分を無効にするための手続き 国の当初の思惑からすれば全面的なものとはならなかったにしろ、仮処分という司法手段を使って住民運動を封じ込めるというやり方がまかり通ってはなりません。 仮処分とは民事訴訟の手続きの一つです。本訴よりも簡単な手続きで申請できるのが特徴です。仮処分はあくまで「仮」なので、仮処分の申請者が本訴を行わないことがはっきりすれば、処分を受けた側はそれを無効にすることができます。しかし、申請者が本訴を行うかどうかの態度をはっきりさせないうちはいわば生殺し状態に置かれ続けます。 そこで住民は裁判所に対して「起訴(提訴)命令申し立て」という手続きを行いました。これは通行妨害禁止の仮処分を申請した沖縄防衛局に対して民事訴訟提起を命じるよう裁判所に求めるものです。この提訴の期限が2010年2月1日です。この日までに沖縄防衛局が本訴を行わなければ、仮処分は無効となるのです。 *鳩山政権は自民党政権時代の住民弾圧裁判を継承するな! 自民党政権時代、政府は自衛艦を動員してまで辺野古アセスメント(基地建設のための影響評価)を強行するなど、傍若無人な弾圧で沖縄の反対運動に襲いかかりました。 さらに、通常は権利保全のために使われる司法制度を利用して国は住民運動を封じ込めようとしてきました。これら異常な攻撃に対して、辺野古にしても、高江にしても、住民達は歯を食いしばって新基地建設をくい止めてきました。 鳩山政権は、このような自民党政権時代の住民弾圧裁判(仮処分)を継承するのか、真剣に沖縄の声に耳を傾けるのかが問われています。 国が提訴しないように圧力をかけるため、みなさん、この署名に協力しましょう。 2010年1月7日 ○署名用紙は以下のサイトからダウンロードしてください。 やんばる東村 高江の現状 署名用紙 ○署名の集約先は以下です。 沖縄県那覇市久茂地3?29?41 久茂地マンション401 なはブロッコリー宛 ○署名集約期限 ◎第1次集約 2010年1月15日 ◎第2次集約 2010年1月25日 通行妨害禁止仮処分決定に対する声明 高江ヘリパッド建設に関し、国(沖縄防衛局)が、高江住民14名を相手方として、通行妨害禁止を求めていた裁判で、2009年12月11日、那覇地方裁判所は申し立ての大部分は却下する一方で、住民2名について、妨害禁止を命ずる判決を下した。 同決定は、国の主張の大部分を排斥したものであるが、特に国が、住民らは集団的・組織的に行動しているとして、個々人の行動を十分に特定することなくした申立を却下した点は重要であり、いかに国の申立が不当かつ杜撰なものであったかを表している。 他方で、住民ら2名については過去に妨害行動を行ったとして、妨害禁止を命じた点については、前提事実に重大な誤認がある。政府対市民の圧倒的な力関係の違いのもとで、市民運動を続ける一般市民に対し、政府が将来同様の手法を用いて弾圧をするような事態を招きかねず、一般市民の表現の自由を蔑ろにし、三権分立の根幹を揺るがす極めて不当な決定である。 本件のように、市民運動や一般市民を狙い撃ちにした政府の弾圧行為が、司法手続きを利用して行われたことはまったく異例である。旧政権時代の不当な申立をマニフェストに米軍再編や在日米軍のあり方についての見直しの方向を掲げた民主党政権下でも維持してきた政府に、強く抗議する。 2009年12月12日 ※那覇地裁2人を「妨害」認定 高江ヘリパッド仮処分申し立て(琉球新報) ※高江仮処分であす不服申し立て 住民側、本訴提起命令求め(琉球新報) |