昨年10月岩国基地の周辺を訪ねたとき、周辺住民の方から「基地の被害を知るには平日に来てください。土日は米軍は動いていないんです」と言われ、平日に岩国基地を訪ね騒音被害の実情と住民の人たちの気持ちを理解したいと考えていた。それ以降も、12月1日の1万人集会や今年2月の岩国市長選での出陣式などに参加してきたが、ようやく7月28日(月)の平日に岩国基地を訪ねることができた。そのきっかけになったのは、別途紹介するテレビ番組“NNNドキュメント「基地の街に生きて 米軍再編とイワクニの選択」(6月15日放送)を見たことで、基地被害の深刻さとそれ以上に“岩国売り渡し”“だまし討ち”ともいえる政府の方針にどうしようもない怒りを感じたからである。
8時頃、自衛隊のプロペラ機2機が飛び立っていった。低空で飛び立ったので、プロペラ機であっても、ものすごい音だった。しかし、8時半になっても、米軍の戦闘機は飛び立たなかった。その時、10月に来たときに「平日に来てください」と教えてくれた周辺住民の方が散歩に来ていて、偶然に会うことができた。戦闘機が飛び立たないので、基地周辺を案内してもらえた。 私は「基地周辺住民が住宅を愛宕山への移設を要請していますが、どのようになっていますか」と尋ねると、その方は「岩国市や県庁、広島防衛施設局へ要請していると聞いています。」さらに「福田市長は(1)岩国基地の軍民共有化、(2)愛宕山住宅地への国立医療所の移設、(3)岩国駅の再開発、(4)基地周辺住宅の愛宕山への移設、(5)国道188号の2車線化など
基地周辺を案内してもらった。今津川堤防の所々には昔は住宅があり、移転させて、植林されたところがあることや、基地の横のグランドは、軍民空港建設時は空港施設として、基地内のグラウンドは駐車場として利用しようとしていること、2012年には米軍は垂直離発着機のF35Bを岩国に配備しようとしていることを説明してもらった。戦闘機の駐機場の裏に来たときには、「今日は戦闘機が1機もいない。出払っています」と解説してもらった。(後日インターネットで調べると、戦闘機は沖縄・嘉手納基地で演習していることがわかった。政府は沖縄から本土へ米軍演習の分散させるといいながら、沖縄での演習を逆に増やしている実態が報道されていた。)
最後に周辺住民の方は、「国は2009年4月にNLP(夜間離着陸訓練)の場所を決定すると言っていますから、それまでに何ができるのかということです」と話し、差し迫った状況の打破に苦心されている現状を察することができた。 午後からは、米軍住宅が建設が狙われている愛宕山住宅建設地を見に行くことにした。坂道を登り、中腹には、開発場所には鉄のカーテンがつけられていて、中を見ることはできなかった。 後日9月19日、基地周辺住民の移転要請に対して、議会で福田市長は「計画段階ではない」と言葉を濁した答弁をした。一方、岩国市は10月1日、米空母艦載機などの岩国基地移転に伴い国に求める治安、騒音対策などをまとめた要望案を公表した。今後も移転推進派の市長と反対する住民、市議会との間で厳しいせめぎ合いが続いていくだろう。 2008年10月6日 |