辺野古新基地建設・代執行訴訟判決を糾弾する
辺野古新基地建設の不当性を訴え続けていこう

 12月20日、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は代執行訴訟で国の主張を全面的に追認し、玉城デニー知事に対して設計変更を承認するよう命令する不当判決を下した。史上初の法定受託事務の代執行の判決だ。
 判決は、3日以内に承認しなければ知事の権限を奪い、国が代わって承認して大浦湾側の埋め立て工事を強行する権限を与えた。
判決は、国と地方自治体とは対等の関係であるとする地方自治法の理念に反し、国の決定を一方的に押しつけるものだ。沖縄の人々が一貫して示してきた辺野古基地建設反対の民意を顧みなない強権的で不当な判決を糾弾する。

 われわれは、本土の闘いの弱さが政府の強行を許していることを自覚し、沖縄の人々の辺野古基地建設を絶対に許さない不屈の闘いに連帯する。
判決は、9月4日の最高裁判決後も県が承認しないのは、「地方自治法の定める諸制度を踏みにじるもので、憲法が基本原理とする法の支配や法治主義の理念を著しく損なうもの」「社会公共の利益を害するもの」とし代執行が正当なものであると断じた。「県民投票で示された民意こそ公共の利益だ」とする県の主張は「代執行で考慮されるべき公益ではない」として一方的に退けられた。一連の裁判で、県が不承認の理由として指摘し、不承認の根本的原因である軟弱地盤の問題をまともに審理することを避けた。「辺野古新基地建設が普天間基地の危険性の唯一の解決策だ」と繰り返す政権の問答無用の対応を追認した。設計変更申請の承認を県に迫る国交相の勧告や指示そして今回の代執行訴訟の提起という一連の手続きそのものが、沖縄の意思決定権を否定するものだ。
 どちらが憲法の理念と公共の利益を侵害しているのか!

 判決は「県民の心情に寄り添った政策実現がもとめられる」「対話を重ねることで抜本的解決がはかられることが強く望まれている」との付言を加えた。沖縄の人々の感情を逆なでし愚弄するものでしかない。真摯な対話を拒否し続けたのはだれか!
 大浦湾での軟弱地盤の改良工事の見通しは全く立っていない。計画後12年という工期が守られる保障もない。完成できるかどうかもわからない。その間、普天間基地は固定され危険性は継続される。9600億円といわれる。総工費はさらに膨れ上がり際限なく国費が投入される可能性が指摘されている。サンゴの破壊など自然環境の破壊も続く。新基地建設は公益性のかけらもない。

 判決の当日 沖縄県内では「県民無視の不当判決だ」怒りの声が上がった。
 デニー知事は「県民の負託を受けた知事として、到底容認できるものではない」と承認を拒否する姿勢を示している。オール沖縄会議が呼びかけた県庁前県民広場での集会には300人が参加した。糸数慶子共同代表は、「沖縄差別ではないか」と判決を批判。「あきらめることなく沖縄の誇りある自治と民意の実現を求め行動し声を上げていこう」と話し玉城デニー知事への支持を呼びかけた。普天間基地は即刻閉鎖すべき、辺野古が唯一の解決策ではない「沖縄だけに過重な負担を強いる日米安保の不条理に決して屈することなく、玉城知事を支え日本の地方自治と民主主義を守るため最後まであきらめない」とのアピールが参加者の拍手で採択された。辺野古ゲート前でも抗議の声が上がった。

 防衛省は、すでに承認のないまま、判決を見越して、大浦湾への埋め立ての工事の入札と契約を済ませている。史上初の代執行の決定後、速やかに大浦湾の工事を着工しようとしている。斎藤鉄夫国交大臣は、沖縄県との対話をせず、承認理由の説明のないまま代執行を決定しようとしている。
 政府と自民党は、判決を盾に沖縄県と知事への圧力を強めている。沖縄選出の自民党国会議員は「最高裁や高裁の判決に従うことは法治国家の根幹だ。知事は承認すべきだ」とし県政野党も「もはや対抗する手段はない」として知事にあきらめることを迫っている。

 辺野古新基地建設反対の闘いは正念場を迎えている。民主主義と地方自治をないがしろにし、基地負担強いる政府の横暴への沖縄の人々の不退転の抵抗は続く。
 玉城デニー知事を支える沖縄の人々の不屈の闘いに連帯して全国連帯で政府の暴走を止めていくことが求められている。
 オスプレイの撤去を求める運動や沖縄南西諸島の軍事要塞化の反対する一連の闘い、全国各地で闘われている闘いとも結合して辺野古新基地建設の不当性を訴え続けていこう。

2023年12月25日
リブ・イン・ピース☆9+25