[沖縄基地問題]
沖縄にも、大阪にも、どこにも米軍基地はいらない!
橋下大阪府知事の米軍基地「関空誘致」発言に抗議の声をあげよう!

すでに調整を始めた橋下知事 現実的危険性を増す「関空移設」
 急速にかつ確実に「関空移設」は政府与党の「県外移設」の俎上に上りつつある。私たちは、当初、橋下知事の「関空移設」発言が彼特有のパフォーマンスだと考えてきた。しかし、ここへきてそれは非常に危険な事態に発展しつつある。米軍基地の「関空移設」は荒唐無稽、あり得ないという状況ではなくなりつつある。関西のマスコミ、ニュースもワイドショーも、刻々と変わる橋下発言を面白おかしく、彼の米軍誘致発言がまるで沖縄県民のことを考えた発言であるかのように垂れ流している。もってのほかだ。
 鳩山首相は、COP15の首脳会合の前の12月18日にも、米政府側に基本方針を伝えると表明した。その直後官邸・与党間の検討内容が明らかになった。それが、辺野古のキャンプ・シュワブ施設内の陸上部分にヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)を造り、同飛行場のヘリ部隊を移転させ、嘉手納基地と関西空港に同飛行場の固定翼機の訓練をそれぞれ移すという、普天間の機能の「分散移転」案である。しかもこれを伝えた沖縄タイムズの記事によれば、「関空への訓練分散については、大阪府の橋下徹知事と政府側の間で既に調整が始まっている。与党関係者によると、政治的環境が整えば、橋下知事も受け入れに前向きな意向を示している」というのだ。この情報の確実性については分からない。しかし、関空誘致発言問題は徐々に現実味を増しているのは確かだ。
「普天間移設 政府、シュワブ陸上検討/官邸と与党間で調整−−関空・嘉手納にも分散」(沖縄タイムス)

 私たちは、はっきりと関空への米軍基地誘致に反対する。大阪府と知事が関空誘致で政府与党との調整作業を進めているとしたら重大だ。即刻中止するよう要求する。政府に対しても、民主党・社民党・国民新党の連立を組む与党全体に対しても、大阪府に対しても、即刻反対の声を挙げよう。

米軍誘致で関空への補助金引き出しが狙い
 事の発端は11月30日、橋下大阪府知事が、「関西全体で沖縄の基地負担の軽減につながる議論には積極的に参加したい」などと発言したことである。沖縄出身の下地議員の「関空移設」案を受けてのものだと言われている。国土交通省の成長戦略会議の委員の1人が、関空移設は「防衛省が関西空港を借りて米軍基地として使うということは、関西空港会社の負債を軽減し、空港を維持していくための選択肢のひとつだ」と述べ、同会議でも議題とするよう提案したという。関西の3つの空港の赤字解決の抜本策が決まるまで、事業仕分けでは補給金を凍結すると判断された。橋下知事は米軍誘致で政府からカネを引き出そうとしているのである。
 橋下知事は「受け入れると言ったことはない」「受け入れる訳じゃないが議論は拒否しない」「今のところは軍用機の航空需要は念頭にない」などと語り、「政府から正式の話があれば検討する」と、政府側からの要請が先だと主張してきた。
 橋下知事の頭には、1兆円もの巨額赤字を抱える関空の負担をどうやって府民・国民に押し付けていくか、関空への補助金を政府からどうやって引き出すかにしかない。しかし、元々関空は関西財界と大阪府が採算がとれるメドもないのにごり押ししたものである。今や関西財界とべったりの橋下知事が、この関西財界の無駄な一大公共事業で生じた巨額赤字を府民・国民に押し付けようとしているのだ。
普天間移設 「話あれば関空に」橋下大阪府知事(毎日新聞)

日米安保のために府民は犠牲を甘受せよというのか
 橋下知事が政府と勝手に「関空移設」を決めれば、一気に暴走する危険がある。彼は、岩国市が2006年に行った空母艦載機移転についての住民投票を、「国政の防衛政策に地方自治体が異議を差し挟むべきでない」などとこき下ろし、軍事外交政策では地方自治体とその住民は、政府の言う通りにすべきだ、逆らってはならないなど、住民による民主主義の権利行使を批判した経緯がある。
[抗議声明]大阪府知事橋下徹は、岩国住民投票否定発言を撤回し謝罪せよ!(署名事務局)

 そして今回も、「あくまで日米安保が軸の話だが、国から提案があれば、最初から一切拒否するわけにはいかない」と言っているように、彼の発言はつまるところ、日米安保体制の維持と米軍駐留継続のためには、大阪府民は犠牲を甘受し堪え忍ばなければならないというのである。これこそ、安保・軍事がもっとも大事であり、そのためには国民の権利は制約されるべきという、彼の反憲法、反民主主義的な信念に他ならない。
 「県内移設」か「県外移設」か、日本政府も、国民も、辺野古を否定するなら「県外=国内移設」を差し出さねばならないかのように思いこまされている。「日米合意」は動かせないものだ、と。橋下知事はこのトリックに一役買っているのである。
 鳩山民主党が衆院選挙で勝利した背景の一つには、自民党政治の長期にわたる対米従属・依存の軍事外交政策、特に小泉政権以降の軍国主義的な政策のエスカレーション、自衛隊の海外派兵、グローバルな軍事介入を米日共同で推し進めるという、憲法9条違反の「戦争国家」作りに対する一般的な反対がある。朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)や中国に対して、米日の軍事力で対抗するという緊張激化政策は、もはや時代の変化の中で時代錯誤になりつつある。このような時に、関空と大阪・関西の空を米軍機の自由な訓練地帯に仕立てるという暴挙を絶対許すことはできない。

米軍機の爆音被害、墜落事故、衝突事故の責任を誰がとるのか
 私たちは、沖縄県民が被ってきた言葉に尽くしがたい被害と苦渋を一緒に考え共有し、基地・安保・軍事力に対する憎しみを一緒に感じ共有しなければならない。沖縄連帯は、「関空移設」を受け入れることによってではなく、関空誘致絶対反対の取り組みを進める形で、推し進めなければならない。大阪・関西の地で、沖縄の悲劇や被害の実相をしっかりと伝えることによって、また当たり前のようにメディアで伝えられている辺野古新基地建設計画の「日米合意」のデタラメと理不尽を暴露し、更に橋下知事の狙いを暴露することによって、府民に米軍基地の危険性と不必要性を訴えていく形で、推し進めなければならない。
 関西空港が米軍機の訓練を受け入れるとはどういうことか。そもそも関西空港は民間専属空港として作られており、関空開港当時の岸知事は府議会で、大阪を国際平和都市として発展させていくため、関西空港を軍民併用として使う事はない旨を発言している。今回の発言は、民間利用に徹するという発足時の理念を踏みにじるものだ。
 関空を米軍に使用させるということは、管制と周辺空域全体を米軍に引き渡すことである。米軍機は、民間機が離発着する合間を縫って訓練するということはあり得ない。関空周辺だけではない。関西の3空港のある場所は超過密地域である。大阪府、関西全体が米軍の訓練地域になる危険もある。米軍機が飛び回る中を民間機が低空飛行で離発着することになる。衝突事故の危険性は一気に高まるだろう。この責任はいったい誰が取るのか。米軍機は絶え間なく飛来し轟音とともに激しい離発着訓練を昼夜を問わず繰り返すことになる。24時間空港である関空はうってつけだろう。爆音被害、米軍機墜落の被害の責任は誰がとるのか。そのような危険極まりない関空の利用を民間航空会社は避けるだろうし、利用者も減少するだろう。それとも、関空を米軍専属空港に転換し、それで1兆円の赤字を解消するとでもいうのだろうか。

沖縄県民の被害・悲劇をももてあそぶもの
 橋下知事の「多大なご負担をかけた」「本州の人間は十分配慮しないといけない」という発言は、決して沖縄県民の真の痛み、真の犠牲を理解した上でのものではない。府知事になって彼が行ってきた言動、知事になる前にマスコミを騒がせた彼の言動から、それは明らかだ。彼が知事になってからの大阪府の政策は、福祉・教育・生活・文化など民政政策の切り捨てである。とりわけ、教育の戦争責任の問題、自衛隊や安保体制の問題に対する対応は危険だ。教育現場への「日の丸・君が代」押しつけ、愛国心教育と格差教育、若者への徴兵制の導入発言、教育を破壊する教員評価システムの支持、府職員への統制と制裁、自衛隊での府職員の研修提案など、極めて右翼的・反動的、軍国主義的なものである。彼は、府下の橋下応援団の右翼的議員を集めた「大阪教育維新を市町村からはじめる会」、「つくる会」から分裂した八木秀次の「日本教育再生機構」とともに「徳育教育」のタウンミーティングをやったりしている。彼は中国や北朝鮮に対する露骨な民族差別感情を持った人物である。
橋下徹大阪府知事、八木秀次理事長が登壇!(日本教育再生機構)

 要するに、日頃、アジア・太平洋戦争の戦争責任や戦後補償問題について、それと相反する言動に終始してきた彼が、突如、沖縄戦の悲劇や基地の犠牲に苦しむ沖縄の人々のことを考えるわけがないということである。それは、すでに述べたように、関空の補助金引き出しのため、安保体制維持・米軍駐留維持のために利用しているだけである。沖縄県民の被害・悲劇を愚弄するものでしかない。ところがマスコミは、彼の右翼的思想、右翼的言動、その危険性について、批判的なことは一切報道しない。それどころか、知事の動静を逐一、批判的視点もなしに垂れ流すことで、知事の応援団に成り下がっている。

辺野古新基地建設阻止、普天間基地即刻閉鎖・撤去
 伊波・宜野湾市長は、グアム移転を強く要求している。普天間基地移転=辺野古新基地建設は、自民党政権時代に密室の中で自民党と軍事・外交当局の間だけで決められたもので、国会や国民全体、関係する地方自治体やその住民を巻き込んだ民主的な議論の中で決められたものではない。政治軍事情勢も大きく変化し、米の軍事戦略も変化している。鳩山政権は、「対米対等」関係を公約にしたはずだ。辺野古新基地建設阻止、普天間基地即刻閉鎖・撤去で、再度対米交渉をすべきである。そして、これまでの日米安保体制のあり方を根本的に転換し、中東や中国・北朝鮮に対して、緊張激化ではなく緊張緩和、軍事対抗ではなく平和と善隣友好関係の強化で臨むべきである。鳩山政権は、米国による侵略的な軍事覇権への加担を前提にするような在日米軍基地の維持強化や米軍再編を自民党政権から継承する必要はない。社民党は基地のたらい回しに協力・加担することなく、基地撤去へむけた努力をするべきだ。
 私たちは、辺野古新基地建設阻止、普天間基地即刻閉鎖・撤去を要求する。そして関空への米軍基地誘致にも断固反対する。
 沖縄にも大阪にもどこにも米軍基地はいらない。全国から米軍基地反対・撤去の声を上げていこう。

2009年12月8日
リブ・イン・ピース☆9+25

[抗議先]

橋下徹大阪府知事
FAX 06-6944-1010
メール:府政への意見
大阪府庁知事室 〒540-8570 大阪市中央区大手前2丁目

政府・与党
鳩山由紀夫首相 
  メール(首相官邸「ご意見募集」)
 TEL:03-3581-0101  
 FAX:03-3581-3883(目安箱)

北沢俊美防衛大臣
 メール(防衛省ホームページ)
 TEL:03-3268-3111 (防衛省・代表)
 FAX:03-5269-3270

岡田克也外務大臣 
 メール
 TEL:03-3508-7109
 FAX:03-3502-5047

民主党本部 
 メール
 TEL:03-3595-9988(代表)
 FAX:03-3595-9961

社民党本部 
 メール
 TEL:03-3592-7501
 FAX:03-3580-0691

国民新党本部
 メール
 TEL:03-3239-4545
 FAX:03-5275-2675