第9回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議が、11月23日から25日までの3日間、東京・千代田区の韓国YMCAで開催された。23日は関係者の非公開での報告と討論および歓迎レセプション、24日はアジア連帯会議公開集会、25日は政府・国会要請とデモ、院内集会だった。その内、24日から25日にかけ参加した。24日は公開集会で、被害者の証言と国際シンポジウムがあった。会場は約400名が参加し、熱気があふれた。被害者証言が、韓国、中国、台湾、東ティモール、フィリピン、在日にわたり、「慰安婦」戦争犯罪の規模の大きさを改めて強く感じた。同時に、解決に向けた国際的な運動や日本での取り組みの広がりも実感できた会議だった。 被害者たちはすさまじい被害の状況を涙を流しながら訴えた。中国の郭喜翠さんは暴行された記憶を思い出すことがつらく十分に話すことができなかった。韓国の李秀山ハルモニは慰安所で妊娠し中絶を強いられ子宮まで摘出されたことや慰安所から逃げた後捕らえられ尻と胸にコテを当てられたつらく悲しい経験を涙を流しながら訴えた。台湾の鄭陳桃さんは、慰安所から生還したが会いたかった祖母がすでに亡くなっていて深く悲しんだことや、叔父に罵られ、荷物ごと家の外に放り出された屈辱を涙ながらに証言、日本政府に謝罪を要求した。宋神道さんは86歳の高齢を感じさせない元気な姿を見せ、戦争は絶対ダメとと訴えた。フィリピンからは、ヴァージニアさん、フェデンシアさんがそれぞれのつらい体験を語り、教科書での真実の記述を求めた。東ティモールのエスペランサさんは文字通り「性的な召使い」の扱いを受けた体験を語った。 集会には、フィリピンの被害者レオノラさんとファナリアさん、韓国の李容沫(イヨンス)ハルモニ、吉元玉(キルウオノク)ハルモニも参加し、日本政府への怒りを共有した。時間に追われ1人平均10分程度の短い証言で思いの丈を十分に述べることはできなかっただろう。それでも証言の内容はそれぞれ深刻で生々しいものだった。 発言した国会議員の一人社民党の福島瑞穂参院議員は、この臨時国会に「慰安婦」問題解決のための法案を提出し、是非議論をしたいと決意を述べた。 午後一番には、アジア連帯会議のため急遽再招集された有志によるミュージカル「ロラ・マシン物語」の一部が上演され、続いてシンポジウムが2部構成で行われた。1部では各国の支援団体やNGOなどの代表が報告をした。韓国の挺身隊問題対策協議会の尹美香さんや中国の康健さん、台湾・婦援会の頼采児さん、リラピリピーナのレチルダさん、フィリピン・カンパニエラのネリア・サンチョさん、インドネシアのエカ・ヒンドラティ等々それぞれの国での被害者への謝罪と補償のための法律を作るため、日本政府への働きかけをもっと強めるよう集会参加者に要請した。フイリピンでは、3月下院外交委員会で一旦決議124号があがったにもかかわらず、「定足数」についての日本の外交官の干渉で、差し戻しになったという。 シンポジウムの2部では、今後の運動の進め方をテーマに、アメリカのアナベル・パクさん、カナダのフローラ・チョンさん、宝塚市の田中ひろみさん、関釜裁判を支援する会の緒方貴穂さんがそれぞれの経験を語った。この中で、田中ひろみさんは、宝塚市議会での「慰安婦」問題意見書可決の背景を報告し、差別されてきた在日朝鮮人との交流が宝塚の運動を支えてきたことを熱く語った。 25日は、午後1時からの国会前スタンディングデモに参加した。集会が始まる前から、右翼が激しい妨害行動をしかけてきた。アジア連帯会議の横断幕を広げている目の前で「慰安婦はただの売春婦だ」「朝鮮人は売春婦だ」などと挑発を繰り返す。これは全く、安倍晋三や中川昭一など右翼政治家の発言とうり二つである。新たな怒りが湧くと共に、「慰安婦」問題と朝鮮人差別は切っても切れない関係であることを強く感じた。「慰安婦」問題は、天皇制軍国主義の恥部であり、それだけに右翼の攻撃も強い。前日の集会の中で、「慰安婦」問題は、戦争犯罪の中でも特筆すべき重大な犯罪だと語られていたのを思い出した。 スタンディングデモには、国会議員と共に被害者の郭喜翠さん、李容沫(イヨンス)ハルモニ、吉元玉(キルウオノク)ハルモニなど約100人が参加し、日本政府に謝罪と補償を求める法律の制定を要求した。 ※従軍慰安婦問題:アジア連帯会議 法的補償などを元慰安婦ら訴え−−千代田 /東京(毎日新聞) ※元慰安婦ら証言、公式謝罪求める 都内で連帯会議(日本経済新聞) ※東京で元慰安婦ら次々被害訴え 謝罪求めるアジア連帯会議(神戸新聞) 2008年11月26日 |