はじめに このパンフレットは、10月26日に大阪市住吉区の浅香人権文化センターで行った学習会「イラク・アフガン戦争の泥沼化と、米軍の非人間的“殺人洗脳ケア・システム”」での報告に若干の追加資料を加えたものです。 学習会ではNHKスペシャルのビデオ「戦場 心の傷(1)兵士たちはどう戦わされてきたか」を上映し、帰還兵の3割、50万人〜60万人がPTSD(心的外傷後ストレス傷害)やTBI(脳損傷)に侵されている実態や、若者を殺人マシーンに変えていく“ブート・キャンプ”の過酷な訓練、貧困層の若者を軍に送り込む「隠れた徴兵制」などの実態を見ました。 また、10月半ばに行われた2つの自衛隊イベント取材を通じて、自衛隊が「武装集団としての原点」に立ちかえろうとし、海外派兵や市街戦の戦闘訓練の増加などで、自衛隊の中にも自殺やいじめ、集団暴行など問題が多発している状況を議論しました。 そもそも人は、人を殺すことに強い抵抗を覚えるものであり、その心理的抵抗を克服するために近代軍はあの手この手で殺人洗脳システムを開発してきたという歴史的事実は、人間性と戦争がいかに相容れないものであるかということを、原点に立ち返って考えさせるものです。 7年に及ぶアフガン・イラク戦争の泥沼化の中、米軍の帰還兵問題はアメリカ社会を揺るがすほどの深刻な問題になっています。これが、金融危機の爆発と共に、「戦争と金融救済にカネをつぎ込むな!貧しい者や労働者を救え!」という人々の要求となって表れています。その闘いの先頭に立ったのは、ANSWER(Act Now To Stop War and End Racism)やTONC(Troops Out Now Coalition )、IAC(International Action Center)といった反戦センターの運動でした。米国では反戦平和の要求と人民生活を守る要求はますます分かちがたいものとなってきています。 私たちは学習会を通じて、日本でも海外派兵によって自衛隊が変化をし始めていることを知り、あらためて米国の侵略戦争への加担反対の思いを強めました。日本でも、生活をまもり、格差や貧困に反対する運動と、海外派兵に反対し軍事費を削減させる運動の結びつきがますます重要になってきています。 2008年11月30日 目次
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