イスラエルはパレスチナ人民の命の綱である国連パレスチナ救済事業機関UNRWAの国内での活動禁止を決めました。この決定はイスラエルが連日爆撃と攻撃で命の危険にさらしている230万人のガザ市民に一層過酷な飢餓による攻撃をしかけるものであり、極めて重大な戦争犯罪行為です。私たちはイスラエルによるUNRWA活動の禁止と国連によるパレスチナ難民に対する支援サービス実施条約の破棄を糾弾し、直ちに撤回するよう要求します。 イスラエルの国会クネセトは、10月28日に二つの法律を可決しました。一つはイスラエル支配下の地域でパレスチナ難民に支援サービスを提供するという1967年の国連との合意を破棄するものです。二つ目はイスラエル国内でのUNRWAの活動禁止です。11月4日にイスラエル外務省は国連に正式に合意の破棄を通知しました。この二つの法律は国際法に違反するとんでもない法律です。 イスラエルはすでにガザ地区で4万3千人の市民を殺し、十万人以上を負傷させました。ガザの住居の大半は破壊され、地上攻撃でガザの230万人の住民のほとんどが避難民となって避難生活を余儀なくされています。学校や病院は意図的に攻撃目標とされ、そのほとんどは破壊されました。子どもや弱者をはじめ住民全体が深刻な飢餓と感染症の危険にさらされています。急遽ポリオワクチン投与まで必要になりました。 イスラエルは1年以上に及ぶ戦争でガザの住民を極めて悲惨な状況に追い込んで来ましたが、今回の決定はそれをさらに悪化させるものです。国連安保理の報道声明は「UNRWAは全ての人道支援の柱だ」「代替する組織は存在しない」としイスラエルの新法に重大な懸念を表明しています。グテーレス国連事務総長は「被占領地域のパレスチナ難民に壊滅的な結果をもたらす可能性がある。容認できない」と述べました。UNRWAのラザリーニ事務局長は「UNRWAの活動が止まれば、人道危機に壊滅的な影響を与え、復興の可能性も阻害される」と強調し、国連総会による断固とした介入が必要だと訴えています。 UNRWAはガザの住民の命綱です。230万人の住民に対して食料や水、医薬品などを供給しています。その供給量はイスラエルの妨害で人々を飢餓状態に追い込むほど減少させられています。イスラエルは10月に食料搬入を大幅に制限し昨年10月以前の6%にまで削減させています。住民はほとんど飢餓状態にあります。こんな攻撃と妨害の中でもUNRWA等支援機関が必死で命と生活を支えています。UNRWAはスタッフ233人もの犠牲を出しながら支援を続けています。食料や水だけでなくUNRWAは学校も医療も支えています。ガザの子どもの半分30万人はUNRWAの学校で、校舎が破壊されれば青空教室で学んでいます。病院に医療品を供給しているのもUNRWAです。さらに3万人のパレスチナ人を職員として雇用しています。UNRWAの活動禁止は、飢餓の深刻化だけでなく子どもたちから学校と未来と健康を奪うことでもあります。 さらにUNRWAはガザ地区だけでなく、ヨルダン川西岸地区、東エルサレム地区、レバノンなどで、合計590万人のパレスチナ難民の生活を支援しています。国連はUNRWAを通じてパレスチナ人が自分の国を取り戻し、自分たちの故郷に戻れるまで支援を続けているのです。しかし、パレスチナという国をなくし、パレスチナという民族をなくし、全部を自分の領土に併合したい植民地国家イスラエルにとって、パレスチナ国家作りを支援するUNRWAは「宿敵」であり、目の上のたんこぶでした。今回の戦争を絶好の機会にUNRWAつぶしの行動に出ているのです。 UNRWAにハマスが浸透している、UNRWAはハマスの隠れ蓑になっているとイスラエルは主張しますが、それは言いがかりに過ぎません。10月7日のハマスと抵抗勢力の攻撃にUNRWAの要員9人が参加していたとイスラエルは告発しましたが、彼らが提出した証拠に国連では誰も納得せず、イスラエルの主張を裏打ちする証拠はありませんでした。証拠を提出したのに国連は動かなかったと言いますが、実際にはまともな証拠も出せない状況なのにUNRWAを壊滅させようとしているのです。 今回のUNRWA攻撃の最も悪質な点は、UNRWAの活動禁止=住民への飢餓攻撃がイスラエルがガザ北部地区で新しく進めている民族浄化・パレスチナ人排除のための作戦の一環だということです。この新しい「将軍たちの作戦」はガザ北部を包囲し、食料と水の供給を止めて住民が住めなくし、住民に退去を求め、残留するものは全員ハマスと見なして殲滅するというものです。餓死するか、ハマスと見なされて殺されるか、出て行くかどれかを選べという残忍極まりない、非人道的なやり方です。すでに一ヶ月近く食糧の供給が止められています。いままだ40万人が残っていると言われるガザ北部でこの作戦が行われています。そして、許しがたいことは、パレスチナ人を追い出した後に「浄化された」地域にイスラエルの新しい入植地を作ろうとしていることです。 戦時国際法、国際人道法は占領地での、@住民の保護、食料・水・薬などの供給を義務付け、A強制的な住民の移動を禁止し、Bいかなる場合でも学校、病院等への攻撃を禁止しています。C住民の無差別殺傷の禁止など言うまでもありません。イスラエルが現にやっていること、UNRWA禁止でやろうとしていることは、これら戦時国際法、国際人道法に真正面から反する戦争犯罪です。 米国、欧州のいくつかの国と日本政府はイスラエルのUNRWA活動禁止に危惧を表明しました。しかし、それだけです。特に米国はイスラエルへの軍事支援と財政支援やめれば直ちに戦争を止めさせ、市民の虐殺を止め、飢餓を解消し多くの命を救えるにもかかわらず、イスラエルを本気で止めようとせず、ガザ攻撃、レバノン攻撃の爆弾、砲弾を供給し続けています。共犯です。 国連安保理では批判が強まり、イスラエルの制裁や国連からの除名の声まで上がっています。国際援助機関は非難を集中しています。多くの国、人々がイスラエルが行おうとしてる大虐殺、大飢餓攻撃を止めようと必死になっています。 私たちは。平気な顔で戦時国際法違反、国際人道法違反の非人道的な戦争犯罪を強行するイスラエルを強く非難します。何よりも日本政府がイスラエルに対して、国際法、国際人道法を遵守し、直ちにガザ、レバノンへの攻撃を止め、市民大虐殺を止めること、UNRWAの活動停止を撤回し、食料、水、医薬品等住民に必要な支援の保障を要求するよう求めます。いまやイスラエルにジェノサイドを止めさせるためにあらゆる事が必要です。私たちは日本政府にイスラエル支持をやめ、制裁などの圧力をかけることを求めます。政府と日本企業はイスラエル企業とくに軍需企業との関係を絶ち、一切の協力を止めるべきです。貿易、投資を始め国際的なイスラエルに対する不買・投資撤回運動を広げましょう。国際的な批判と包囲を強め、イスラエルの戦争と植民地支配を止めさせましょう。 2024年11月6日 |
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