声明
UNRWAへの資金停止=「第2のジェノサイド」を許すな
日本政府は資金拠出を再開せよ。ジェノサイドへの加担をやめろ

(1)イスラエル批判をハマス批判に逸らせる卑劣なプロパガンダ
 岸田政権は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の複数の職員が10月7日のハマスの攻撃に関与したというイスラエル発の「疑惑」に基づいて、1月28日にUNRWAに対する3500万ドルの資金拠出を停止しました。私たちは、強く抗議し、直ちに拠出を再開するよう求めます。
 日本政府は27日にICJ判決を支持し、誠実に履行するべきだと上川外相が談話を出したばかりです。その日本政府が、ICJがイスラエルのジェノサイドの防止、人道支援物資の搬入拡大を命じているその時に、人道支援の中心を担うUNRWA攻撃に参加し、ガザの人々を飢餓の地獄に突き落とす行動を取ることを許すことができません。
 岸田政権が今やるべきは、拠出再開だけではなく、むしろ拠出の増額です。

(2)米・イスラエル発の情報はウソとデマ
 イスラエルと米国のUNRWAに対する非難は、1月26日に国際司法裁判所ICJがイスラエルのガザ攻撃をジェノサイド条約違反と考え、イスラエルに不利な判決を出すと見込んで、それに対するカウンター攻撃として初めから計画された政治的行動です。ICJ判決で高まるイスラエル批判をハマス批判に矛先を逸らせるプロパガンダに他なりません。
 イスラエル軍と情報部が提供した情報は、「捕虜の自白」と携帯電話の位置情報に基づく状況証拠に過ぎません。「捕虜の自白」も苛酷な拷問によるものと言われています。この件では本人かどうかも不明です。何より攻撃に直接関与したとされているのは1〜2名だけです。事実の確認も本人の調査もまだ行われていません。
 しかも、UNRWAの職員がハマスに加担と言いますが、イスラエルはすでに152人のUNRWA職員を殺害しています。イスラエルにUNRWAやその職員を非難する資格はありません。
たとえ複数の職員が関与していたとしても、職員もパレスチナ住民です。パレスチナ人民には武装抵抗を含めてシオニスト・イスラエル政府の殺戮と暴虐に抵抗する権利を持っているのです。
 イスラエル軍情報部が、これまでも戦争を正当化するための宣伝、偽情報をばらまいてきたことは周知のことです。40人の赤ん坊を斬首した、シファ病院の地下にハマスの司令部があるなど、次々とウソが暴かれてきました。
 これまでも、今回も、日本を含む西側メディアは、検証も現場で調査もせずに、ただイスラエル政府・軍・情報機関が発信するデマ情報を繰り返し垂れ流しています。ジャーナリズムの責任を問いたいと思います。

(3)資金拠出停止は集団的懲罰=「第2のジェノサイド」
 拠出停止国は、米国、ドイツ、スウェーデン、日本、フランス、スイス、カナダ、英国、オランダ、オーストラリア、イタリア、オーストリア、フィンランド、ニュージーランド、アイスランド、ルーマニア、エストニアの17カ国。米・イスラエルのガザ大量虐殺戦争を支持してきた国です。私たちは、これらの国々全てに対し、拠出再開を要求します。
 このままでは2月中にもUNRWAは活動停止に追い込まれます。UNRWAへの拠出停止で被害を受ける200万人以上のガザ市民には何の罪もありません。ガザの住民全部を罰する行為は国際法に禁止された「集団的懲罰」そのものです。ICJ判決にあるように、ガザの人々が食料・水・医療品などの極度の不足に苦しみ命の危機に晒され、支援物資が一番必要としているときに、支援物資を止めることは、200万人の命を奪うことです。それは「第2のジェノサイド」、国際犯罪行為に他なりません。イスラエルのみならず、米国の呼びかけで日本も参加して「第2のジェノサイド」を実行することに絶対反対です。

(4)UNRWA解体を目論むイスラエル
 UNRWAはパレスチナ難民のための特別な国連組織です。UNRWAはパレスチナ難民はイスラエルの軍事力により虐殺され、故郷を追い出されたパレスチナ難民の生活を支援し、帰還と補償のために作られました。イスラエルの戦争と占領によって奪われたパレスチナ人の民族自決を支援するための組織です。
 イスラエルはICJ判決に敵意をむき出しにするだけでなく、この機会に長年目の敵にしてきたUNRWAの解体を狙っています。イスラエルのガザ侵攻は市民の大量虐殺(ジェノサイド)だけでなく、市民をガザから追放して土地を奪う民族浄化をめざしています。そこでパレスチナ人の生活を支えているだけでなく、パレスチナ人の民族自決とパレスチナ国家建設を支援するような組織にイスラエルは2重の敵意と憎しみを持って攻撃しています。
 私たちはパレスチナ人の存在そのものを否定するUNRWA解体攻撃に日本が参加することに断固反対します。

(5)即時全面停戦を。米・イスラエルの共謀を許すな
 米政府は、今回も、イスラエルの自衛権を持ち出して、ICJ判決を受け入れないことを表明しました。現在、国連安保理でICJ判決の実行を審議していますが、米国は拒否権を使うつもりです。
 そして、イスラエルと口裏を合わせて、このUNRWA資金拠出停止を世界中に呼びかけ組織しました。それだけではありません。米国は、ガザ侵略・爆撃の武器・弾薬・ミサイルを途切れることなくイスラエルに提供し、国連安保理での停戦決議に繰り返し拒否権を行使し、事実上、ガザ大量虐殺戦争に参加し、共謀しています。
 イスラエルのパレスチナ人虐殺はとんでもない規模になっています。すでに27000人以上の市民が殺されました。その中には11500人の子どもたち、8000人の女性が含まれます。負傷者は66000人以上で、行方不明者も8000人を超えます。
 私たちは、米・イスラエルに対し、ICJ判決を受け入れるよう要求します。米・イスラエルに即時恒久停戦と全面撤退を要求し、ジェノサイドを止めさせることこそ差し迫った最重要の課題です。人道支援物資搬入を拡大し、住民の命を飢餓、病気から救うことそこ緊急に必要です。私たちは、岸田政権に対し、「第2のジェノサイド」に加担するのではなく、イスラエル支持をやめ、即時停戦を要求し、UNRWA拠出再開と人道支援拡大をすることを要求します。

2024年2月4日
リブ・イン・ピース☆9+25