パレスチナ連帯シリーズ(その6)
イスラエルはパレスチナ民族浄化政策をやめよ
「人道」を口実にしたシナイ半島への強制追放を許すな


Naaman Omar apaimages/Wikimedia Commonsより

[1]ガザ住民をシナイ半島へ放逐する恐るべき計画が露呈
(1)相次いでリークされる「民族浄化=絶滅計画」
 イスラエルは戦争の目的を、ガザ地区からエジプトのシナイ半島にパレスチナ人を完全に放逐し、民族浄化と領土略奪に置いているという驚くべき政府文書(※1)が暴露されました。イスラエル情報省政策課が作成した「政策文書;ガザの民間人に対する政治的指令の選択肢」(10月13日付;次ページ写真)。現在強行中の大量虐殺と合わせれば、まさに民族絶滅政策に他なりません。

 作成元の情報省はイスラエルの軍事作戦・占領支配の中枢です。そこが10月7日のハマスの攻撃開始から1週間を経ずに出した文書です。公表されたのは要約の部分10ページ、元は数百ページの大部の文書と考えられます。
 こんな文書は短期間でできるものではありません。文書は冒頭で目的について「ハマス政権の打倒」と同時に追求すべき「ガザの市民の扱い」政策を決めるためのものだとしています。先に結論を言えば、イスラエルの戦争目的を「ハマス壊滅」とガザ地区から230万人ものパレスチナ住民をエジプトのシナイ半島に難民として放逐し、2度と戻れないようにする、ガザ地区をイスラエルの領土にするというものです。

 この文書と同時期にイスラエルのシンクタンク・国家安全保障・シオニスト戦略研究所はネタニヤフ率いるリクードの活動家で情報相の側近と言われるアミール・ワイトマンの「エジプトにおけるガザ住民の再定住と最終的リハビリテーションのための計画:経済的側面(10月17日)」(※2)を公表しました。その文書は情報省の文書と同じ構想で、「ガザ地区全体を避難させる、ユニークで稀有な機会」とし、エジプトには1000万戸の空き家があり、50億ドルから80億ドルの経費が必要なだけで、エジプトにも景気刺激策になり、可能だと論じています。


(2)戦争目的は「自衛」「ハマス壊滅」ではない!
 この文書に接した時、私たちは驚愕(きょうがく)し、そのおぞましさに背筋が凍る思いに襲われました。幼い子どもたち、女性や老人たちに対して、理不尽かつ無慈悲に、毎日朝から晩まで空爆や地上戦で繰り広げられる一方的な大量虐殺、跡形もなく破壊され灰燼(かいじん)と帰すガザの街、この人類史上まれに見る凶悪な戦争犯罪を、米が主導する西側諸国が支持し、メディアがこれに加担する状況。これだけでもおぞましいのに、230万人の民族を強制排除し、砂漠に追放するというのです。その残虐性は異常極まりないものです。

 イスラエルは現在のガザ攻撃を「自衛のため」だとか「ハマスの攻撃への報復」「ハマス掃討作戦」あるいは「捕虜の奪還のため」などと言っていますが、この文書が示しているのは、それは単なる口実にすぎないということです。極右ファッショのネタニヤフ政権が10月7日のハマスの攻撃を絶好の好機として、長期にわたり練りに練ったこの民族浄化=絶滅計画の実現に打って出たことを示しています。
 要するに、イスラエルの戦争目的は、「自衛」でも「ハマス壊滅」でもなく、パレスチナ民族の民族浄化=絶滅の実現なのです。この最重要ポイントを外せば、現在進行中の事態を何も理解できません。

(3)長期にわたりイスラエル支配層内部で合意形成
 これらの文書は、殺戮対象はハマスだけでなくすべてのパレスチナ人で、目指すのは民族浄化=パレスチナ人のせん滅、そしてガザ(パレスチナ国家)の強奪だと告白しています。かつて第一次、第二次世界大戦の帝国主義時代に、列強が侵略戦争、領土略奪と植民地住民の虐殺、民族抑圧に明け暮れましたが、それと同様のやり方です。21世紀の現在、ここまで露骨な大量虐殺と民族浄化=民族絶滅政策を、西側の政府・メディアの支持の下にやれるのはイスラエルだけです。国際人道法、国際法に違反し、絶対に許されない行為です。
 この民族浄化計画は、ガザ地区でハマスが政権を取った2007年以降、イスラエルの中で「大ガザ計画」として知られています。情報省のこの文書はワン・オブ・ゼムではなく、イスラエルの政治中枢で合意形成されてきた国家戦略に他なりません。文書は政権上層部で共有されただけでなく、戦争内閣ですでに共通の戦争目的になっていると考えられています。ネタニヤフ政権が残虐極まりない空爆と地上侵攻を強行するのも、米国のお為ごかしの「一時休戦」に全く耳を貸さないのも、ガザ住民をシナイ半島に追い出すまでは止めないという決意を反映しています。

(4)民族浄化=絶滅政策に基づくパレスチナ民族排斥イデオロギー
 ネタニヤフ政権閣僚や政党幹部がパレスチナ住民にかけている非人間的言説や排外主義イデオロギーの裏には、この情報省の政策文書で意思統一されたイスラエル支配層の共通認識があるのです。「パレスチナ人は存在しない」「パレスチナの村を焼き払え」(駐英イスラエル大使)、「人間の動物」(ガラント国防相)、「被害を受けたくなければ、イスラエルのコミュニティから離れるべきだ」(国防省スポークスマン)、「ハマスの動物は滅ぼされなければならない」(駐独イスラエル大使)、「パレスチナ人はテント村に行け」(元大臣)等々。
 2004年、アラン・ソーファというシオニストはこう言い放ちました。「250万人が閉鎖されたガザで暮らすことになれば、それは人間的大惨事になるだろう。国境での圧力はひどいものになるだろう。ひどい戦争になるだろう。だから、もし私たちが生き残りたければ、殺して殺して殺しまくるしかない。毎日、毎日だ......唯一気がかりなのは、殺戮をしなければならなくなる少年や男性たちが、どうやって家族のもとに帰り、普通の人間になれるようにするかということだ」と。常軌を逸したという他ありません。

 そして、残念ながらイスラエルの政治的上層部だけでなく、何十年にもわたってアパルトヘイト体制に浸り、露骨なシオニズムに洗脳されてきたイスラエルの一部の人々にも受け入れられているのが現状です。

※1 「政策文書;ガザの民間人に対する政治的指令の選択肢」ヘブライ語の原文
  英語翻訳
  機械翻訳 政策文書に関する論評「オプションC」-イスラエル政府の政策文書、ガザの民族浄化計画を発表
※2 エジプトにおけるガザ住民の再定住と最終的リハビリテーションの為の計画:経済的側面
  元のデータは削除。Mondoweissが保存したpdf (mondoweiss.net)
  機械翻訳 イスラエルのシンクタンク、ガザの完全な民族浄化の青写真を打ち出す(モンドワイス)
※3 シオニストのシンクタンクがパレスチナ人虐殺の青写真を発表(キット・クラーレンバーグ、グレイゾーン)


[2]パレスチナ民族のシナイ半島への強制移住計画の概要
(1)3つの選択肢を示し、結論は[選択C]=シナイ半島への強制排除
 情報省の文書は、「ハマス壊滅」の後に3つの選択肢があるとしています。
――[選択A];住民はガザに止まり(ヨルダン川西岸を支配する)パレスチナ自治政府PAに統治させる。
――[選択B];住民はガザに止まり、地域のアラブ人に統治させる。
――[選択C];住民をガザからシナイ半島に「避難させる」。

 しかし、結論は初めから決まっています。文書は選択Cだけが「実現可能な選択肢」だとし、政府幹部に実行の決断を要求しています。選択AとBは「重大な欠陥を持ち」、ガザの住民の大半はハマスを支持しているので、彼らをガザに残せば数年を経ずに元の状態、あるいはもっと悪化すると認めています。イスラエルが住民を監獄状態におく下では抵抗闘争は必ず復活するから、ガザの住民を全てシナイ半島に放逐しなければならないというのです。

(2)強制移住実現の手順
 強制移住の手順については以下のように述べています。今回の空爆も、地上侵攻も、大量虐殺も、全ては、この計画に沿って展開されているのが分かります。

@ すべてのパレスチナ市民にガザ北部から立ち退くよう指示。
A 第1段階ではガザ北部に焦点を当てた空爆を行い、地上部隊を侵攻させる。
B 第2段階では北と東から徐々に地上作戦で掃討を行い、ガザ地域全域を占領し、ハマス戦闘員を一掃する。
C 国際的な非難が大きくなる前に、短期間で集中的な地上作戦を行う。
D 民間人をシナイ半島に追い出す。
E エジプト側に受け入れさせ、北シナイの定住地域に定住地を造る。
F エジプト側に幅数キロの「無菌地帯」(まさにパレスチナ人を「菌」と見なした表現!)をつくり住民を戻らせない、というものです。

 文書は「パレスチナの土地などない」「イスラエルに戻る望みはない」「アッラーはハマスの指導者のせいであなた方に土地を失わせた」とプロパガンダ、イデオロギー宣伝を溢れさせる必要があると付け加えています。

(3)イスラエルの焦りと計画実現の困難
 この文書は民族浄化の野望だけでなく、同時にイスラエルの焦りも表しています。彼らはガザへの全面侵攻とガザ市民の虐殺とシナイ半島への追放を、国際的な非難が高まる前に達成しなければならないと必死です。なぜならパレスチナ人を追い出せなければ、数年後にはガザでのハマス支持とイスラエルへの怒りは一層強まり、抵抗闘争は復活し、戦略的にはイスラエルの敗北となるからです。さらに都市部に潜むハマスの殲滅とガザ全域の占領そのものも極度に困難で、圧倒的な軍事力でも途中で限界に達する可能性が大きいのです。
 イスラエルの大臣(極右政党)が核爆弾の使用を主張しましたが(※4)、それはイスラエルがパレスチナの人々を人間として見ていないことを反映しているだけでなく、軍事目標の達成に危機感をもっていることの反映でもあります。ネタニヤフもガザ占領と住民追放のハードルの高さを認識して「長期にわたるイスラエル軍の占領支配」を口に出しましたが、ただちに米国が反対を表明したように、このやり方こそ長期の負担と出血を要し結局破綻することが明白な道です(※5)。

※4 イスラエル閣僚、ガザへの核使用「選択肢」発言が波紋 停職処分に
   イスラエル閣僚が「ガザに原爆投下」発言 政府会合への出席禁止に
※5 ネタニヤフ氏、戦後のガザへの関与明言 「イスラエルが安保に責任」
   米国はイスラエルの占領に反対

(4)現在は「手順A」段階。「文書」通りの展開
 激しい連日の空爆に続いて、イスラエル軍は10月27日に地上侵攻を開始しました。ネタニヤフは28日には「戦争が第2段階」(上記手順A)に入ったと宣言しました。ガザ市は完全に包囲され、空爆で次々と瓦礫の山にされるだけでなく、イスラエル軍は掃討作戦を始めました。イスラエルは「北部から南部への避難命令」を出し、「残っているものはハマスと見なす」と宣言し、避難民も容赦なく殺戮するつもりです。
 ガザ北部にはまだ数十万(30万とも60万とも言われています)の人々が残っています。すでに10000人を越すパレスチナ人が殺され、その約半数は子どもたちです。イスラエル軍は、病院、学校、モスクなど大勢の避難場所となっている建物を空爆して破壊し、避難する人々に攻撃を加えています。赤新月社の救急車や医療チームも狙って攻撃しています。建物はがれきの山となっていて、幸いに生き残ったとしても、住む場所も、食料も、電気や水などのインフラも、燃料も何もないのです。


[3]西岸でも三択を迫る〜「奴隷となるか、移民になるか、抵抗して死ぬか」
(1)ヨルダン川西岸でも進む民族浄化=絶滅政策
 ネタニヤフは、ガザ地区を片付けた後、ヨルダン川西岸でもパレスチナ人の強制排除を行う計画です。しかし、西岸では、すでに別の形態で民族浄化を押し進めているのです。
 2022年12月29日に第6次ネタニヤフ政権が成立しましたが、極右ファッショ政党「ユダヤの力」「宗教シオニズム」との連立政権です。ネタニヤフは宗教極右と連立することでかろうじて政権を維持し、代わりに極右大臣たちの主張を大幅に取り入れました。この政権の最大の特徴は宗教極右のファッショ政権だということです。二人のキーパーソンがいます。一人は、「ユダヤの力」の党首であるベン=グヴィール。彼は国家安全保障相に就任し、イスラエル国内ばかりか、これまで国防省が管轄してきた占領下の西岸地区や国家警備隊が管轄した東エルサレムの治安維持を含めて全土一括統制下に置く権限を得たのです。もう一人は財務相となった「宗教シオニズム」のスモトリッチです。彼が提唱する「パレスチナ人排除計画」(2017年)が連立政権の基本原則に採用され、イスラエルの歴史上初めて「ヨルダン川西岸地区の併合」が連立協定に加えられました。国の方針としてヨルダン川西岸の併合を決めたのです。(※6)彼らは治安弾圧機構を握ることでガザやヨルダン川西岸への弾圧や暴力・虐殺をエスカレ−トさせ、ガザや西岸の資金源を握り、パレスチナ民族を一気に絞め殺し始めました。

(2)スモトリッチ財務相のヨルダン川西岸での入植地拡大政策
 スモトリッチのパレスチナ人排除計画には2つの段階がありました。第1段階は、ヨルダン川西岸での無制限な入植地の拡大です。特に今年に入って暴力的な入植が強行されています。第2段階は、パレスチナ人に3つの「選択肢」を与えるというものです。第一の選択は、占領地にとどまり「二級市民」すなわちイスラエル人の奴隷として生きる。第二の選択は、占領地から出ていく。そして第三の選択は、イスラエルに抵抗して殺される。
 つまり、人間としてのあらゆる権利を放棄して生きるか、パレスチナから立ち去るか、死ぬか、この三択を選べと強制したのです。すでにスモトリッチのパレスチナ人排除計画は実行段階に入り、ヨルダン川西岸一帯は224の小さなゲットーに分割され、入植者たちはいたるところでパレスチナ人を攻撃しています。今年前半まででイスラエル軍は38人の子どもを含む224人以上のパレスチナ人を殺害しました。そのうち187人がヨルダン川西岸と東エルサレム、37人がガザです。2023年8月、国連は入植者による暴力の激増を警告しました。

 ヨルダン川西岸は、イスラエルが支配しやすいよう、エリアA、エリアB、エリアCに分割されています。エリアAはパレスチナ自治政府(PA)の完全管理下、エリアBはイスラエルの軍事支配とPAの行政管理下、エリアCはイスラエルの完全な軍事支配と行政管理下にあり、C地区がヨルダン川西岸の約60%を占めます。
 すでにヨルダン川西岸の乗っ取りは最終局面にあるのです。6割の土地がイスラエルにすでに奪われただけでなく、残りの4割もイスラエル軍・警察と入植者が一体になってパレスチナ人の農場や住居を焼き討ちし、追い出し、あるいは殺すことで奪いつつあります。しかも西岸を統治するアッバスのPAは自治政府とは名ばかりで、イスラエルの弾圧執行の手先、下請機関とまで言われるようになっています。

※6 スモトリッチのヨルダン川西岸地区計画は、第2のナクバをどのように実現するか


[4]米・イスラエルが目論む「人道」の名によるシナイ半島への強制移住
(1)人道的大惨事を起こし、シナイ半島へ追い出す残虐な計画
 米・イスラエルが西側メディアを使って画策しているのが、現在深刻化する人道的大惨事を利用した「エジプトはラファ検問所(ガザとエジプトの境界)を開放せよ」「エジプトはガザ難民を受け入れよ」という一大キャンペーンです。彼らは、水・食糧・医薬品などの救援物資を搬入する入り口であるこの検問所を、ガザ住民の強制追放のために使おうとしているのです。

 イスラエルは、激しい絨毯爆撃によって、住宅、病院・学校、インフラを壊滅し、南部への避難命令を出し、ガザを「完全封鎖」し、兵糧攻めにしました。これに呼応して米国は「一時休戦」と「人道回廊」を提案しました。絶妙の連係プレーです。ガザ住民の多くが検問所から出て行くと考えたのです。
 しかし、この米・イスラエルの狡猾な策謀は失敗しました。ガザ住民の70%は、1948年のナクバで追いやられた人々とその子孫なのです。ガザ住民の多くが「第2のナクバ」を恐れ、南部への避難も拒否したのも当然です。パレスチナ人民は誰一人、シナイ半島への強制排除を認めていません。
 米・イスラエルが次に考えたのが、地上戦を開始し、桁違いの犠牲者を出し、「完全封鎖」で飢餓状態に追い込めば、つまり人道的大惨事を起こせば、さすがにガザ住民も逃げ出すだろう。こう考えているのです。すでに飢餓状態が進み、感染症も起こっています。

 今後、西側政府・メディアは、大騒ぎするはずです。「人道的危機だ」、「エジプトは人道のためラファ検問所を開放せよ」、「なぜエジプトは検問所を開放しないのか」など。イスラエルの非道を糾弾せずに、責任をエジプトに転嫁する薄汚い策謀です。情報省文書は、エジプトのシナイ半島に移住先を建設する前に、ガザ住民をまず「テント村」に収容させる計画です。これをラファ検問所のエジプト側に作ろうと言うのです。
 私たちは、この米・イスラエルと西側メディアの策謀に断固反対しなければなりません。

(2)米欧諸国がパレスチナ民族浄化・絶滅政策に直接加担
 パレスチナ民族の強制移住計画は単なる机上の計画ではありません。ハマスの攻撃からわずか3日後、バイデン政権高官は、ガザから安全な通路を提供するため、第三国と協定を結んだと公言しました。背景には、歴代の米大統領がシナイ半島追放計画を支持してきた事情があります。エジプト政府に繰り返し圧力を加え、あるいは債務帳消しで懐柔し、シナイ半島の割譲を要求し続けました。2008年、2012年、2014年のイスラエルの軍事攻撃のたびに、米政府は、エジプト大統領のムバラクやモルシを脅迫してきたのです(※7)。ガザ住民のシナイ半島への追放計画は、米・イスラエルの共通の目標なのです。アッバスも、エジプトも、ヨルダンも、この強制移住計画に真っ向から反対しました。今後ますますエジプトを脅すでしょう。
 ヨーロッパも関与しています。イギリスの駐イラク大使がアンバール県を訪問し、ガザ住民の移住先の選定を画策しているという報道が流れました(※8)。10月末には、ネタニヤフが、シナイ半島追放計画をEUに働きかけ、チェコやオーストリアなど一部のEU加盟国が加盟国会議でこの案を提示しました(英フィナンシャル・タイムズ10/30)。ある欧州外交官は同紙にこう語りました。「今こそ、エジプト側に圧力をかけ、合意させる時だ」と。

※7 イスラエルがガザを "浄化 "する用意があることを示唆する証拠が続々と(ジョナサン・クック)
※8 イラク人、ガザ地区住民をアンバール砂漠に移住させる西側の計画に警告


[5]ハマスと抵抗勢力の10・7行動は民族浄化政策を覆す行動
(1)アルアクサ洪水作戦はパレスチナ民族浄化への抵抗
 ハマスとパレスチナ抵抗勢力は、10月7日に、なぜ包囲された壁を打破し、軍事基地と入植地を襲撃したのでしょうか?なぜ75万人ものパレスチナ人を強制排除した1948年の「ナクバ」(大惨事)から75年目を選んだのか?一般的な占領支配に対する抗議行動ではありません。
 それは、ネタニヤフ、ベン=グヴィール、スモトリッチがガザ地区でも西岸でもエルサレムでも、パレスチナ人を殺戮し、虐待し、入植地拡大を本格的に加速し始めたからです。同時に彼らは、民族浄化計画の加速を公言しまし。スモトリッチ財務相は今年4月,欧州で公然と「パレスチナ人など存在しない。パレスチナ人の言語,通貨,歴史や文化もない。何もない」と言い放ち(※9)、ネタニヤフ首相は9月国連総会で「新しい中東」として、西岸のパレスチナ自治区もガザもない「大イスラエル」の地図を掲げて演説しました(※10)。パレスチナを抹殺すると国連で公然と表明したのです。

(2)米・イスラエルによるアラブ諸国抱き込み=「正常化」政策の阻止
 もう一つあります。それは、米主導でイスラエルとアラブ諸国の国交を開き、政治的・経済的関係を築き上げ、アラブ世界を分断することを阻止するためです。2020年には、米が主導し、アラブ首長国連邦とイスラエルとの間で和平協定(アブラハム合意)を結び、今年に入ってサウジアラビアを含むアラブ諸国がイスラエルとの「正常化」を図る「新しい中東」を作る動きが表面化しました。パレスチナ問題の解決なしにイスラエルとの和平はないとしてきた「アラブの大義」を揺るがすものです。

 アルアクサ洪水作戦は、パレスチナ人が自分の国、土地、生活を守るための、自分たちの悲惨な現状を世界に訴えるためのぎりぎりの行動でした。それは米主導の一極支配に歴史的な反撃を与えました。何よりも米・イスラエルのパレスチナ民族浄化への抵抗であり、米国とイスラエルが中東での支配権を得るためにアラブ諸政府を巻き込む企みを挫折させました。自分たちの身をもって民族解放の活路を拓こうという行動です。アラブの人民は熱狂的にパレスチナの人々の決起に連帯を表明しました。欧州や米国でもパレスチナ連帯、イスラエル糾弾の大規模なデモがますます広がっています。イスラエルを支持し、停戦を阻止しようとする米国と日本を含むG7の行動は、国連でも世界でも孤立しています。
 世界中の運動と力を合わせて、イスラエルに空爆、大量虐殺、民族浄化を止めさせ、停戦を押しつけるために声を上げ続けましょう。

※9 イスラエル閣僚、暴言連発 「パレスチナ人存在せず」
※10 国連総会(2023年9月22日)でのネタニヤフの演説

2023年11月11日
リブ・イン・ピース☆9+25

 パレスチナ連帯シリーズ開始にあたって(記事一覧)