パレスチナ連帯シリーズ(その4)
グローバル・インティファーダ(1)
即時停戦、大量虐殺抗議のパレスチナ連帯のうねり
米国では、バイデン政権の共謀・加担を糾弾

I.全世界で数百万人の歴史的な大規模行動
 世界中で、即時停戦、ガザ大量虐殺反対を掲げた人々のパレスチナ連帯運動が広がっています。この11月4(土)〜5日(日)の集会・デモの参加者はこれまでにない大規模なものとなりました。パレスチナ・クロニクルというサイトの報道は「グローバル・インティファーダ」(A Global Intifada)と表現しました。

 これらの即時停戦要求の行動の第1の特徴は、その世界的広がりと規模の大きさです。しかも、多くの国々で、政府やメディアの弾圧や妨害に逆らって起ち上がっていることです。10月7日のレジスタンス攻撃直後には、アラブ・イスラム諸国で大規模な行動が巻き起こりました。最近では、イスラエルに加担する西側の米国やイギリスから、グローバル・サウスのインドネシアやベネズエラまで、世界中の何百万もの人々が街頭に繰り出し、ガザにおけるイスラエルの大量虐殺の即時停止を要求しました。2003年のイラク反戦以来、ここ20年なかった規模の反戦運動であり、パレスチナ連帯運動としては史上最大です。
 第2の特徴は、学生や若者、労働者や労働組合、医師や医療関係者、弁護士や司法関係者など、様々な階層や職業に広がっていることです。
 第3の特徴は、集会やデモだけではなく、BDS(ボイコットBoycott、投資引揚げDivestment、制裁Sanctions運動)、労働者によるイスラエル向けの武器の輸送や荷揚げ阻止、一時休業や操業停止行動など、闘いの戦術も多種多様です。米国のANSWER連合やCODEPINKは、「グローバル・シャットダウン」運動を提起しました。その第一弾が11月9日(木)です。
 以下に紹介するのは、第1の特徴の中の重要ですがごく一部にすぎません。第2、第3の特徴の部分については、今後逐次紹介していきたいと思います。


数百万人がガザでの大量虐殺に抗議し、世界的なインティファーダが進行中(パレスチナ・クロニクル)

 イスラエルはこれまでに、ガザ地区で4,800人の子どもを含む1万人以上のパレスチナ人を殺害し、25,000人を負傷させています。パレスチナ保健省の報告や国際機関によると、死傷者の大半は女性と子どもだといいます。イスラエルは、食料や水、医薬品や燃料をガザに搬入させず、飢餓と医療活動遮断に追い込み、死を強制し、意図的にパレスチナ人を虐殺しています。

 さらにイスラエル政府の文化遺産大臣、アミチャイ・エリヤフは、ガザに核爆弾を投下することが可能な解決策であると言い放ちました。ここに至ってイスラエルの戦争目的がパレスチナ人を絶滅すること、ジェノサイドであることが誰の目にも明らかになりました。この上なく凶悪で非人間的な戦争犯罪としかいえないものです。

 中国やロシアが救援物資を送り込んでいます。ヨルダン軍は、ガザのヨルダン野戦病院に夜間にパラシュートで医療支援物資を降ろしました。イスラエルが「病院がハマスの拠点」だというデマに対抗するため、ハマスは国連事務総長に対し、「占領の虚偽の言説を検証するために病院を訪問する国際委員会を結成する」よう要求しました。世界の反戦平和団体は、米政府を筆頭に西側自国政府のイスラエルへの加担をやめさせる大衆闘争をますます強化拡大しています。


II.米国
(1)イラク反戦以来、米国史上最大のパレスチナ連帯行動
 とくにイスラエルを全面支持し、大量虐殺の共犯者となっている米国の運動は決定的に重要です。イラク反戦をリードしたANSWER連合の他、パレスチナ青年運動、アメリカ・ムスリム同盟をはじめ500以上の団体が何百台ものバスで全米からワシントンに集結しました。主催者によれば、30万人が結集し、2003年のイラク反戦運動以来、米国が経験した最大の反戦行動となりました。

 以下は、同連合の呼びかけです。

<ANSWER連合の呼びかけ>
メディアアラート:流れは変わりつつある。民衆はパレスチナのために結集し、今すぐ停戦を要求する!

2023年11月04日
日時:2023年11月4日(土)午後12時
場所 フリーダム・プラザ、ワシントンD.C.
https://www.answercoalition.org/nov4_final_press_release

 ワシントンDC、2023年11月4日――数十万人にのぼると予想される大群衆が、パレスチナを支援する米国史上最大の動員のため、数時間以内にワシントンDCに集結する。この歴史的な行進に参加するため、地元のコミュニティ・グループや進歩的な団体によって、何百台ものバスが組織され、全米の都市から活動家や良心のある人々が集まってくる。

 この行進に賛同した450以上の団体は、即時停戦、イスラエルに対するすべての米国からの援助の停止、そしてイスラエルによるガザへの爆撃が絶え間なく続く中、16年以上にわたるガザ包囲の中止を求めている。

 午後0時から午後4時まで、フリーダムプラザで行われる歴史的な行進に参加する人々は、賛同団体の代表や著名な活動家、知識人から、ガザで進行中の大量虐殺におけるバイデン政権の加担について話を聞く。

 主催者側は、参加者をワシントンに運ぶために予約していたチャーターバスをキャンセルさせようとする試みに打ち勝たなければならなかった。パレスチナの大義に敵対する人々のこうした努力にもかかわらず、人々はこの歴史的な日に参加することを躊躇しなかった。

 「これは、何百万人もの人々が正義のために声を上げる、真に世界的な運動である。米国政府はその手を血で汚している。バイデン政権は私たちの名において発言しているが、彼はこの国の大多数の人々の意見を代表しているわけではない」とANSWER連合の事務局長、ブライアン・ベッカーは語った。

 「過去4週間、私たちはバイデン政権の完全な支持のもと、イスラエル占領軍によるガザの民衆の恐ろしい虐殺を目の当たりにしてきた。この大虐殺は今日終わらせるべきであり、イスラエルとその虐殺のパートナーに責任を取らせるために、私たちはここにいるのです」とパレスチナ青年運動のヤラ・シュファニは語った。


(2)30万人がワシントンD.C.の通りを封鎖
 演説者は、ホワイトハウスに向かう行進の前に、3時間近く満員の群衆に演説しました。モンドワイス文化編集者のモハメド・エル・クルド氏、歴史家で作家のビジェイ・プラシャド氏、パレスチナ・フェミニスト・コレクティブの代表者、全米の学生活動家、パレスチナ人、アラブ人、イスラム教徒、黒人、先住民、その他の主要な共催団体など。


米国史上最大のパレスチナ抗議デモがD.C.の通りを封鎖した

 主催者ヌール・ジャガマは、「アメリカ人はパレスチナでの大量虐殺を支持していないし、占領も支持していないのに、この抑圧に資金を提供するために、私たちは自分たちの資源を奪われている」とし、「今すぐ停戦を呼びかけなければ、アメリカ史上最も非人道的な大統領の一人としての地位を確固たるものにしなければならない」と発言しました。デモ隊は、「米国が資金提供するジェノサイドをやめろ!」「今すぐ停戦せよ!」「ガザを生き返らせろ!」といったプラカードを掲げました。

 女性反戦団体CODEPINKは、「私たちは、人類に対するこのような忌まわしく壊滅的な攻撃に私たちを参加させることを強制した政府に憤慨していることを、政府に示す必要があります。アメリカ国民は、停戦、占領の終結、パレスチナの完全な解放を要求しています」と訴えました。

(3)ユダヤ人の反戦団体も声を上げる
 「平和のためのユダヤの声」(JVP)は、「合衆国中のユダヤ人は、イスラエルのガザ破壊と合衆国の強硬な支援に対して、前例のない数の抗議をしている」と述べました。この団体のホームページを開けば「今すぐ停戦を要求せよ」「正義のために起ち上がろう」「合衆国からパレスチナへ」のスローガン。彼らは、10月27日には、ニューヨーク市のグランドセントラル駅を占拠しました。何千人もが「今すぐ停戦せよ」「ガザを存続させろ」という叫びで駅を埋め尽くし、ついには中央ターミナルが完全に閉鎖されました。彼らは、自分たちの税金をパレスチナでの大量虐殺の資金源に使うことに反対し、議会オフィスから、国会議事堂のホール、ニューヨーク市の中心部まで、ジェノサイドとアパルトヘイトに対する米国の支援を終わらせるよう要求するために、全力を尽くすと決意を語っています。
平和のためのユダヤの声(JVP)

(4)「ジェノサイド・ジョー!」〜来年の大統領選挙へ打撃を与える
 良質のパレスチナ情報を提供するMondoweissは、雰囲気をこう伝えています。「群衆は多種多様だった。複数の "Jews for Palestine "の看板。巨大な "Sikhs for Palestine "の看板を掲げたトラックの上で水を配る人々。闘争に連帯して振られる各国の国旗。家族連れも多い。イスラム教徒のデモ参加者が祈りを捧げられるように、群衆は一掃された。当然、悲しみと怒りが渦巻いており、死者の記憶が常に呼び起こされていたが、参加した誰もがおそらく喜びの瞬間を目撃したことだろう。友人たちは顔を合わせると抱き合い、連帯の神聖な喜びを分かち合った。反シオニストであるユダヤ人の列を追い抜きながら行進するパレスチナの女性グループは、『私たちはあなたを愛しています』と宣言した」。

 「複数の演説者が大統領に怒りを向けた。バイデンが言及されるたびにブーイングの大合唱が鳴り響いた。「バイデン・バイデンは隠れられない、我々はあなたをジェノサイドで告発する」(BIDEN BIDEN YOU CAN'T HIDE, WE CHARGE YOU WITH GENOCIDE)というチャントが人気だった。私はある小さな子どもがホワイトハウスに向かって叫んだのを見た。「ジェノサイド・ジョー、お前なんか怖くない!」(GENOCIDE JOE, YOU DON'T SCARE ME!)と」。

 米国のパレスチナ連帯運動は米国政治を変えようとしています。集会では、来年の大統領選挙でバイデン民主党に投票するなというスローガンも喝采を浴びました。「ジェノサイド・ジョーは去るべきだ!」(GENOCIDE JOE HAS GOT TO GO!)と。

 運動は、イスラエル支持や態度をはっきりさせない民主党議員への抗議行動を強めています。イスラエルを擁護し続けるバイデンへの批判は強まり、「アラブ・アメリカン・インスティテュート」の最近の世論調査によると、バイデンへのアラブ系アメリカ人の支持率は2020年の74%からわずか17%に急落しています。
大変化:米国史上最大のパレスチナ抗議デモ

 11月4〜5日の行動を主宰した団体は、11月9日(木)に、「パレスチナのためのシャットダウン」行動を呼びかけています。以下はCODEPINKの呼びかけ文です。

**これはパレスチナのためのグローバル・シャットダウンへのサインであり、イベントではない!お近くのアクションを探すには、https://www.codepink.org/events **をご覧ください。

 9日に行われる何百、何千ものストライキに参加しよう。

 世界中の運動が、11月9日(木)にパレスチナのためのグローバル・シャットダウンを呼びかけました。イスラエルがガザへの砲撃を開始し、パレスチナ人が1万人以上死亡して以来、組織や人々は即時停戦、イスラエルへのすべての援助の停止、ガザ包囲の解除を求めて、帝国の中心部から動員されている。

 私たちは、運動、労働組合、若者、学生、メディア、医療従事者、そして社会のすべての構成員に対し、イスラエルの大量虐殺と占領に資金を提供し、投資し、協力している政庁、企業、職場に向けて、より多くのデモ行進、ウォークアウト、座り込み、ストライキ、その他の形態の直接行動で圧力を強めるよう呼びかけている。

 「私たちは、歴史が私たちを通り過ぎるのを待ってはならない。アイデンティティやセクターに関係なく、誰もがパレスチナの路上から聞こえてくる呼びかけに耳を傾け、大量虐殺に反対する行動を起こさなければならない。恐怖は私たちを守ってくれませんし、沈黙は私たちを免罪してくれません。

2023年11月9日
リブ・イン・ピース☆9+25

 パレスチナ連帯シリーズ開始にあたって(記事一覧)