ホンジュラスでは、6月末の軍事クーデター以来、クーデター政権に反対する人民大衆の闘いが、軍事政権による激しい武力弾圧にもかかわらず3ヵ月以上にわたって継続している。セラヤ大統領が9月の国連総会開催中に劇的な帰国を果たし、「反クーデター国民抵抗戦線」に結集する人民大衆の闘いは、いっそう活性化している。 ここに翻訳紹介するのは、セラヤ大統領が帰国を果たした直後に書かれたフィデル・カストロの考察である。フィデルは、ホンジュラスの現状を評価し、「ひとつの革命がそこで生まれつつある」と述べている。 ※ホンジュラス情勢緊迫:セラヤ大統領が帰国を果たす(リブ・イン・ピース☆9+25ブログ) ※続報:ホンジュラスの緊迫した情勢(リブ・イン・ピース☆9+25ブログ) 2009年10月24日 [ホンジュラス情勢についてのフィデル・カストロの考察] 私は、ウーゴ・ローレンス、ロバート・ブロー、スティーブン・マクファーランド、ロバート・カラハン、つまり2008年7〜8月にブッシュによって任命されたホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグアの米国大使の名を挙げた。この4人が、ジョン・ネグロポンテとオットー・ライヒという胡散臭い経歴をもつ二人の人物が敷いたラインを追求したのである。 私は、その時、サト・カノ米軍基地(ホンジュラス)がクーデターへの主要なバックアップを提供したことを指摘した。そして、「コスタリカからの和平イニシアティブの考えは、オバマがモスクワにいてロシア大学でホンジュラスの唯一の大統領はマヌエル・セラヤであると宣言していたときに、米国務省からコスタリカ大統領に送り届けられた」ことを指摘した。 さらに次のように付け加えた。「コスタリカでの会談を見ると、ホンジュラスの人民への支持を言明した国連、OAS、その他の国際的諸機関の権威が疑問視される。現在おこなうべき唯一正しいことは、米国政府が介入をやめ、クーデター政権に軍事援助を与えることを停止し、ホンジュラスから機動部隊を引き揚げることを要求することである。」 この中米の国でのクーデターに対する米国の対応は、ホンジュラスのサト・カノ基地と同様の軍事基地を7つも創るためにコロンビア政府と合意を取り決めることであった。それは、ベネズエラ、ブラジル、その他あらゆる南米諸国の人民に脅威を与えるものである。 気候変動の悲劇と国際経済危機が国連で各国首脳の頂上会談で議論されている重大なときに、ホンジュラスのクーデター遂行者たちはブラジル大使館の不可侵権を脅かしている。そこは、セラヤ大統領と家族と付き添いの人々がそこに聖域を求めざるをえなかった所である。 実のところ、ブラジル政府はそこで生み出された状況にまったく何の関わりももっていない。 したがって、ブラジル大使館がファシスト政府によって攻撃されるということは、まったく認められないことである。それは、もしファシスト政府が、国連の旗の下での米国軍の介入を意味する外国軍隊の直接介入―ハイチの場合そうであったが―を誘引することによって自殺するつもりでなければ、実際信じられないことである。ホンジュラスは、ハイチのようなカリブ海の離れた島国ではない。ホンジュラスへの外国軍の介入は、中米でのさまざまな紛争を解き放ち、ラテンアメリカ全域に政治的混沌を生み出すだろう。 ほとんど90日にわたるホンジュラス人民の英雄的な休みない闘いは、非武装の人民を圧殺しようとしている親米ファシスト政府を危機的な状態に追い込んだ。 我々は、ホンジュラス人民の間に新たな意識性が現れてきたのを見てきた。社会的戦闘に加わった数多くの人々が、闘いにおいて経験を獲得して鍛えられてきた。セラヤは帰国の約束を果たした。彼は、再び大統領の位置につき選挙を統括する資格がある。賞賛に値する新しいカードルが、この戦闘的な社会的運動の中で現れてきている。その人々は、我らがアメリカの諸国人民を待ち受けている危険の多い道程で、人民を指導していくことができるだろう。ひとつの革命が現在そこで生まれつつあり進行中である。 現在開かれている国連総会は、その正しい決定においても誤りにおいても、歴史的なものになることだろう。 世界の指導者たちは、非常に興味深い複雑な諸問題を詳細に論じた。それらは、人類が直面している膨大な諸課題を反映している。そして利用できる時間はわずかである。 2009.9.24 フィデル・カストロ・ルス |