6月28日の軍事クーデターによって国外追放されていたホンジュラスのセラヤ大統領が、9月21日に帰国を果たした。それが各紙で報じられた。 軍事クーデターに対するラテンアメリカ諸国の即座の一斉反発の中で、軍事クーデターを支援したと考えられる米国も、表向きクーデターを非難せざるをえなかった。しかし米国は、厳しい制裁措置をとらなくてもいいレベルでの「非難」にとどめ、ホンジュラスがいっそう左傾化していかない形で、軍事クーデター政権とセラヤ大統領を米国の主導権のもとで妥協させようと画策してきた。 しかしながら、ホンジュラス経済と人民生活の極度の疲弊と悪化の中で、一握りの富裕層と極貧の人民大衆との間の矛盾が激化し、事態は米国の思惑通りには進んでいない。むしろ逆に、ホンジュラス国内の諸矛盾をいっそう激化させてきた。そのことによって人民の闘いがいっそう高揚してきている。 2006年1月に「中道右派」政権として出発したセラヤ政権は、経済と人民生活の極度の悪化を前にして、それを立て直し改善する具体的な方策を次々に打ち出し実施していく中で、急速に左傾化していった。中でも特に、キューバとベネズエラを中心とするALBAへの加盟は、支配層と米国を怒らせ焦らせたに違いない。軍事クーデターは、そのようなセラヤ政権の左傾化にストップをかけるためのものであったが、一握りの富裕層に対する人民の闘争をいっそう急速に激化させ高揚させることになった。 セラヤ大統領の帰国の試みは、軍事政権によって繰り返し強権的に阻止されてきたが、今回の帰国の実現によって、ホンジュラス情勢は一挙に緊迫し、決定的な時を迎えようとしている。 2009年9月24日 [翻訳] カラカス、2009.9.21(ベネズエラ・アナリシス・コム) ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領は、今日、民主的に選出されたホンジュラスの大統領マヌエル・セラヤが、6月28日の軍事クーデターによって国外追放された後86日にして「英雄的な」帰国を果たしたことを祝した。チャベスはまた、ロベルト・ミチェレッティ率いるクーデター政権に対して、セラヤに平和的に権力を委譲するように求めた。チャベスは、ホンジュラスの首都テグシガルパに到着したことを知らせるセラヤからの電話を受けて、カラカスでの教育プロジェクトのテレビ放映された開所式の中で、そのニュースに「大喜びで驚いている」と述べた。 「セラヤは英雄的な形で帰還を果たした」とチャベスは述べて、状況を説明した。ホンジュラス大統領は4人の仲間を伴って「山や川を越え、命の危険をかえりみず」陸路で2日間の行程でテグシガルパに到着した、と。 「我々は、ホンジュラスのクーデター遂行者たちに、命を尊重するよう要求する。大統領の尊厳を尊重するよう要求する。彼はホンジュラスの大統領である。クーデター遂行者たちは権力を委譲すべきである」とチャベスは続けた。 ミチェレッティは、帰国すればセラヤを逮捕すると繰り返し脅したが、まずは憲法にのっとって選挙で選ばれた大統領が国内にいるという報道を否定し、それは単に「メディア・テロリズム」のキャンペーンにすぎないとした。しかしながら、セラヤの存在は、彼が居所を求めたホンジュラスのブラジル大使館によって確認された。 報道機関に語る形で、セラヤは、ホンジュラス軍に「ホンジュラス人民の人権を尊重する」ように求めた。ベネズエラに本拠を置くテレスールによって放映されたその劇的なシーンは、彼の帰国を祝ってブラジル大使館に集まった数千人の支持者たちを映し出した。 「ホンジュラス軍の指揮官に ... 私は、平和的で健全な穏健さを求める。街頭での暴力がないようにと。ここにいる人々は非武装であり、歓喜を叫んでいるだけなのだから ... 」と彼は語った。 セラヤは、平和的な対話をおこなうために帰国した、と語った。そして、ホンジュラスの人々に「民主主義を再構築する」ために自らを組織するように求め、人民の権力は「偉大な変革を達成することが可能だ」と付け加えた。 OASの議長ミゲル・インスルサは、今日、セラヤがテグシガルパに到着した少し後に電話で話したことを確認し、今の状況を分析するためにOASの特別会合を呼びかけた。 インスルサは火曜(9月22日)にはホンジュラスに行き、セラヤと会うことになっているが、彼は、事実上の現政権にセラヤの安全を保障するように、またブラジル大使館の安全を尊重するように求めている。 セラヤの追放は、OAS、国連総会、その他の国際的諸機関を含む国際社会によって、ほとんど全世界的に非難されている。それは、民主的に選挙で選ばれた大統領の「即刻の、また無条件の帰還」を要求している。 しかしながら、米国政府の対応はあいまいである。米国大統領バラク・オバマと国務長官ヒラリー・クリントンは、セラヤの帰還を求めるコメントをしてはいるが、米国は、今回のクーデターを正式に「クーデター」として規定しておらず、金融的援助をカットするのもゆっくりとしていて、ホンジュラス軍の訓練も継続している。 クーデター政権に対する国際的圧力は強まってきている。9月10日には、南米諸国同盟(UNASUR)は、11月のホンジュラスの選挙を、もしそれがクーデター政権のもとでおこなわれるのであれば認めないということを確認した。 ホンジュラス国内では、クーデターへの抵抗は、ここ3ヵ月にわたる日々の街頭デモ、おびただしい数のストライキ、道路封鎖などに反映されてきた。 反クーデター国民戦線(the National Front against the coup)のギルベルト・リオスは、ベネズエラ・アナリシス・コムに、クーデターの経済的インパクトは悲惨なものだった、そしてますます多くのセクターが日々レジスタンスに加わってきている、と語った。 セラヤの帰還は、クーデター政権中枢の危機をもたらした。 反クーデター国民戦線のコーディネーター、フアン・バラオーナは、テグシガルパの街路がクーデターに抗議する人民であふれている、「大規模な大衆的リアクションがある」と述べた。 「クーデター政権がさらに24時間以上権力を維持することは非常に困難である。軍は、これをストップさせるためには、血の海を遂行しなければならないだろう。」と、彼はベネズエラのテレビに今日語った。 経済政治研究センターの共同ディレクター、マーク・ワイスブロットは、今日、次のように述べた、「これはオバマ政権にとっての真実の瞬間でありうる。もしセラヤが戻れば、それを支持しなければならないだろう。世界のすべての諸国がセラヤの側に立つだろうということは、極めて明らかである。というのも彼の大統領職への復帰とホンジュラスにおける民主主義の回復が達成されるからである。」 「疑わしい罪でのセラヤの逮捕は ― クーデター政権がそれを追求する合法的権限をもっていないので ―、クーデター政権の孤立を深めるだろう。そして国際社会から制裁を受けることになるだろう。」とワイスブロットは付け加えた。 しかしながら、ホンジュラス軍のチーフ、ロマン・バスケス・ベラスケスは、今日、ミチェレッティに対する支持を表明し、クーデター政権が夜間外出禁止令を課すことを支持した。 次の放送でチャベスは、再びクーデター政権に対して退陣するよう求めた。「ホンジュラスの人民は、街頭で待っている。そして我々は、クーデター政権が権力をあきらめて、人民を虐殺するような狂気に走らないことを望む。全世界が注視している。」と。 以上 Venezuela’s Chavez Calls on Honduras Coup Government to Peacefully Hand over Power to Manuel Zelaya |