米国に囚われた5人のキューバ人に自由を!

 9月17日、キューバ大使館は5人のキューバ人についての記者会見を開き、日本でも彼らの自由を勝ち取るための世論が広がるよう呼びかけました。大使館が記者会見まで開くのは異例のことです。11年にもわたって米国に不当に拘束されている5人のキューバ人を一刻も早く解放させる必要があります。記者会見に代表派遣した“キューバを知る会・大阪”ブログより転載します。
キューバを知る会・大阪 キューバンファイブのページ
「対テロ戦争」の欺瞞を暴く「キューバン・ファイヴ」解放運動(署名事務局)

2009年10月2日
リブ・イン・ピース☆9+25


 9月17日、キューバ大使館で5人のキューバ人の釈放を訴える記者会見が行なわれました。朝日新聞や毎日新聞、NHK、キューバとの友好団体なども取材に詰めかけ、約20名の参加でした。 今回の記者会見の意図は―米国の大統領がブッシュからオバマに変わり、オバマは国際世論に耳を傾けると内外に約束しました。そこで、5人のキューバ人の問題を国際的に知ってもらい各国から5人のキューバ人の釈放の声をオバマに届けるということが非常に重要な局面になってきている、そこで日本の人たちにもよく知ってもらうために記者会見を開いたといいます。大使館がこの問題で記者会見を開くのは初めてのことであり、キューバ政府のこの問題への取り組みへの強い決意を感じました。
 キューバンファイブとは、米国に10年以上も不当に囚われている5人のキューバ人のことをいいます。記者会見ではキューバ大使と矢田部弁護士からキューバンファイブのことと彼ら5人の釈放を求める連邦裁判所(日本でいう最高裁判所)に再審を訴える等の各国の取り組みが紹介されました。日本の民主的な弁護士の団体や人権擁護団体もその一翼を担っていました。

 各国の取り組みは、政治的でなく、法的根拠をもとに技術的に訴えるアミカスキュリエというしくみを利用した意見書を米国の最高裁に送ることでした。日本や各国の弁護士や国会議員はそれぞれの立場からアミカスキュリエに参加し書類にサインをしました。
 しかし、6月15日米国の最高裁は再審を却下しました。米国の裁判は非常に複雑であるが故にいろんな道が残されていて、もう一度最高裁に再審を訴える方法の研究をしています。
 大使は「1番キューバ側にとって重要なのは、サイレンスカーテンを破るというような方向で進めることです」と言われました。その理由について「(米国側は)この問題では、何しろ知らせない。みんなを黙らせる、そういう方向で進められてきましたので、『サイレンスを破る』という闘いが必要なのです。」

 矢田部弁護士は、キューバンファイブの不当な判決と手続きについて話をされました。
話の大筋は以下です。
 彼ら5人の罪状はスパイ罪の共謀と殺人罪の共謀。しかし、どの罪状も彼らには当てはまらない。スパイ罪に関しては、彼らは決して米国の軍事機密を探り米国にとって脅威となることを目的としたのではなく、ただただキューバを守るため、それだけ。
 殺人罪に関しては、当時、キューバ領空を米国の民間飛行機が何度もやってきては、嫌がらせのビラなどをまいていた。再三警告を繰り返し、米国にも通告したが、米国は座視しただけ。それでキューバ空軍がその飛行機を撃墜した。4人が亡くなった。キューバ空軍の行動は、領空侵犯を犯した他国の飛行機に対する国権を発動した自衛行動で、国際法的には常識的でキューバ空軍は何の罰則も受けなかった。実行者が罪に問われていないのに、共謀者だけが殺人罪に問われるというのもおかしな話。
 また、手続上の不当さも3つある。
 1つ目は、マイアミで行なわれた裁判は土地柄「公正な陪審員」とはならないので裁判の場所が適していない。2つ目、弁護人の選任が適切に行なわれず、接見が十分にないまま裁判が進行した。弁護人の援助を受ける権利が大きく阻害されている(これは、米国の修正憲法第6条や国際人権規約14条に違反)。3つ目は「適正手続き保障」。検察側、捜索機関が収集した証拠を開示しなければならない、法廷でそれを明らかにしなければならないとされているがこの事件は証拠が不開示。国家安全保障上の事件だからという名目で証拠開示がされていない。
 また、在日キューバ人協会からは、不当に収監されている5人のキューバ人に対して正義が行なわれるよう求める訴えと11年に渡る残酷な拘留の間、レネとヘラルドの妻に対して面会が拒否されてきたことはさらなる人権の侵害だという発言もあった。

 キューバンファイブの1人、ヘラルドは妻にこんな手紙を送っています。
「私は安心している。無罪であるが故の安心感。清潔な意識を持ち、自分が不正義の犠牲者であることを知っているから。いずれ真実が勝利し、正義がおこなわれるだろうと確信している。しかし時にそれは容易ではないことを知っているので、もしそうでなかったとしても私の姿勢はいつも同じだということを君は確信していて大丈夫だ。闘い守るべき大義があるとき、守るべき人々があり、我々を支える家族があり、我々が愛し我々を愛する人がいるとき、それを裏切ることなどできないとき、どんな困難にあっても、どんなことにでも、世界中で最も大きな安心感と尊厳を持って立ち向かうことができる。」 (キューバンファイブのパンフレットより)

 現在、10月13日に3人の再判決がでること、11月には「米帝国の囚人5人の自由を求める第5回国際会議」がキューバ・オルギン市であり、技術的に法律的に何ができるかを討議する予定だそうです。
 この会見で、本当の正義や、本当の公正さがないがしろにされてきた現実を知ることができました。そしてサイレンスを破りたい、キューバンファイブのことを広く伝えたい、と思いました。

以上
キューバを知る会・大阪ブログより転載)