[簡易報告]9月18日 参議院議員会館 証言集会

 この日は参加者約20人で、約1時間の証言、その後ざっくばらんに何でも質問を受け付けた。国会議員も1人参加。

アダム・コケシュの証言
予備役への入隊
 アダムは、ユダヤ系のアメリカ人、先祖はインディアンの血が流れているという。その関係で先住民用の学校へ行った。17歳で海兵隊。それは自分が信じているアメリカ合衆国に尽くすためだった。7ヶ月の訓練を受けた。軍に入ったのは、大学に進学するためだった。予備役に入った。それは、週末と夏に2週間の訓練を受けるという、大学に影響がでないスケジュールだったからだった。この一年戦闘訓練を受け、大学では心理学を専攻。大学1年の時、9.11が起こった。当時、自分も友人知人も巻き込まれてなかったから動揺してなかった。招集されることもなかった。03年2月、反戦活動のデモに参加。戦争には反対していたが、アメリカ政府の情報は信じていた。デモをしても戦争を食い止められないと、悲しがっている人もいた。
 1つの組織では出来なくても、続けて努力することで止められるかもしれない。そう思い、日本に来た。戦争を止めるメッセージを伝えに来た。

ファルージャ包囲作戦
 私は、民生部隊に応募した。それは軍とイラク市民の橋渡しの役目だった。しかし、イラクに行って初めてイラク市民を救うためではなかったと知った。作戦名は「イラクの自由作戦・・・解放作戦」と改められた。実際にはこの作戦は「石油のための作戦」だ。私は6人の部隊で民生の仕事をしなければならなかった。護衛も自分たちで頼まねばならなかった。自分らの任務の重要性を歩兵部隊に認めてもらうため、スローガンを作りました。「私たちがイラクの人々を支援します。だから歩兵部隊は何も心配いらない」と。
 民事活動の目的は、アメリカ政府をよく見せるためだった。日本でも同じようにアメリカでもルールがある。そのルールがあるから世界は正常に動くことが出来る。アメリカがイラクとアフガンで行なったことは、軍事法を市民に押しつけたことだ。兵士たちは交戦規定のカードを渡され絶えず携帯している。その交戦規定が下着を替えるように変わっていった。
 そしてファルージャの包囲作戦があった。ファルージャは町と町の外とがはっきりと分かれている地形で、橋によって結ばれていた。そこでは交戦規定が次々と変わり、攻撃されなくても不審な人物がいただけで発砲し、攻撃していいことになっていた。町にチェックポイントが出来たのを知らない人はスピードを落とすルールを知らなくて発砲された。また、作戦が始まってすぐ、夜に火事が起こった。その原因はアメリカが爆弾を落としたからだった。その火を消すために、イラク人の消防や警察が出てきた。しかし、夜は外に出てはいけないルールになっていた。そこでその消火活動をしている人たちを銃撃した。
 ファルージャには25万人が住んでいる、人道支援のために6人が派遣された。

日本政府は対テロ戦争を支援すべきでない
 アメリカのイラクとアフガニスタンの政策を考えるときに、その前提が何か考える必要がある。軍事行動によってアメリカの国家安全は守ることができない。軍事行動によって、敵を作り出していく。アメリカは戦争に勝つと語るのを好んでいる。しかし技術的には・・・イラク・アフガニスタン戦争は既に終わっている。ブッシュ大統領が2003年5月、空母エイブラハム・リンカーンで「任務完了」と宣言した。それで戦争は終わったと思う。その後何が始まったか、「占領」イラクから略奪することが始まった。民生部隊の活動があって善意を持ってしてもイラク人が苦しむ状況は変わっていない。日本の人々がイラク・アフガニスタンを救おうとしていることに感銘を受ける。日本の市民がイラン・アフガニスタンに対するアメリカの政策を支援することは、対テロ戦争を支援することになる。アメリカがイラク・アフガニスタンにしているのは犯罪行為だ。それを支援する?できるか?アメリカはオバマを選び、民主党政権になった。しかし、イラク・アフガニスタンへの政策は何1つ変わっていない。アメリカがしている帝国主義政策は、かつて日本が行った帝国主義政策と全く同じだ。日本との違いは、もっと巧みにプロパガンダを使ってやったということだ。アメリカ軍がしている人道支援、復興支援の目的はイラクの人々を黙らせることだ。日本の市民、NGO、例えばJVCなどに感銘を受けた。もし、日本がイラクとアフガニスタンに手をさしのべるなら、憲法9条にのっとったものでなければならない。今日本の政治は転換期、そのときに来られてよかった。

リック・レイズの証言
イラクでもアフガニスタンでも市民を無差別に攻撃
 リックは、アフガンとの連帯の心を表す意味でこれを首に巻いている。アダムと同じように国家に尽くすため、入隊した。祖国を守るために命を捧げる覚悟だった。イラク・アフガニスタンに派遣され、アメリカの政策が、アメリカにも、イラク・アフガンの役にも立っていないと学んだ。アメリカの政策のために無実の人が殺され、その政策のために専制政治が広がっている。私たちは無実の人を殺している、敵を見つけることなどできない、タリバンと市民の見分けが全くつかない。敵を探すことができないのだ。兵士として派遣され、軍事行動が何も問題を解決しないとわかった。

米とアフガン政府によって市民は弾圧されている
 この8月の終わりから9月3日まで民間人としてアフガニスタンへ視察旅行をした。自分が兵士として行ったときと全く同じ事が行なわれて状況は更にひどくなっているとこの眼で見た。アフガンに対するアメリカの政策によって、アフガン市民は弾圧されている。この弾圧をしている政府であれなんであれ、必ずその責任を問われなければならない。アフガニスタンに対するアメリカ・NATOの政策を日本が支援することは、アフガンの人々を弾圧することを支援することにつながる。アフガニスタンへの政策は国連憲章に違反している。そうならないよう、日本も憲法9条に違反するものにしてはならない。

質疑応答
質問「リックへ、アフガニスタンへ行ったのはいつ?」
リック:01.9.11の直後。オーストラリアで夜ダンスパーティーをしていたら突然音楽が止み「アメリカが攻撃された、帰還せよ」と放送が入った。翌朝には船に乗りインド洋へ向かった。そして10.16日には既にアフガニスタンにいた。
   →すぐすぎるのでは!? ブッシュが「対テロ戦争で、犯人を捕まえるんだ!」と宣言したのはいつ? と会場が沸く。

質問「劣化ウラン弾についてイラクとアフガニスタンで使われたのですが、兵士の中にもその被害者がいて兵士の子どもに奇形児が生まれているというのを別のNGOに聞いたのですが・・・。何か被害など知りませんか?」
リック:知らない、周りにいない
アダム:そこに行った兵士が帰還してから骨の病気になった人がいる、湾岸戦争で大きな問題になった。兵士が直接被害を受けている、イラクでは水道水の中にもウラン弾の影響があり、市民が飲んでいると言われている。アメリカではDUの兵器を使っていることを秘密にしていない。ただし、それによる病気や危険性は一切認めていない。ご飯の上にかけて食べても大丈夫だという。それを信じていた。
質問「トマホークとかバンカーバスターとかそういう兵器が沖縄にも備蓄されているのですがご存じですか?」
リック:知らない

質問「日本に日米協定とか地位協定とかが元でアメリカの基地があり協力しているのは悲しいこと。今後政権が変わって・・・お願いなんですが、劣化ウラン弾の問題もぜひ取り組んでもらいたい。すぐ影響が出る人もあればずっとあとで骨肉腫とか病気になったりすることがあるので」
アダム:ウラン弾による健康障害、本当の原因は別の所にある。そのおおもとは何か?アメリカの「軍産複合体」これが大きな政府の役人よりも議員よりも力を持っていて軍事政策を動かしている。この「軍産複合体」が知られるようになったのはアイゼンハワー大統領が退任するときの演説によって。その中で「軍産複合体」について触れている。アイゼンハワーは陸軍の将軍だった。大統領になって、「軍産複合体」を、産業と米軍の関係をよく知っている。アイゼンハワーは「軍・産・政複合体」と政府も入れて言いたかった。アメリカでは産業界と軍部と政府で大量な兵器を生産する。そのようなことを日本の政府・国家は作らないようにお願いしたい。

質問「今の活動の支えになっている、核となっている、見てしまったものや、経験について知りたい」
アダム:期待されるのは、1つの経験があって目覚めたとかだろう。しかしそうではない。何か1つの出来事で目覚めたのではなく、段階を追って徐々に目覚める。自分が受けてきたプロパカンダを自分の中から少しずつ排除する、そういうプロセス。「マトリックス」仮想世界があって現実世界がかくされている。人々はプロパカンダによって世界中の人たちは仮想世界に住んでいてこれから全く自由である人間は1人もいない。仮想世界から完全に自由な人間というのはいない。しかし少しずつ少しずつ外に逃れることはできる。全く出ているか中にいるかの問題ではなくてどの程度自分が仮想の世界に入っていて、どの程度仮想の世界から離れていて、どの程度外から仮想世界をみつめることができるか。だから自分は自分の戦争経験を人々に伝えて人々が仮想の世界から少しでも外へ出て行く、そういう人々の知識や意識を高めるために自分はこのように活動している。嘘や歪められた現実は人類のために有害である。
リック:私も少しずつ段階を追って目覚めてこういう活動をするに至った。アフガニスタンに派遣されていろんな疑問を感じ、疑問を持ったまま帰還。戦争とはこんなんなんだとそのまま理解するしかなかった。アフガニスタンで疑問を抱え帰還してイラクで更に疑問が深まった。アメリカのために命を捧げようと志願して海兵隊になったけど、実際に戦争では人々を苦しめる専制政治、それを支えるために自分は兵士として派遣されていたということに気づいた。だから本国に帰還後非常に怒りを抱えるようになった。帰還後何年も経つうちに、社会のシステムに原因があるのではないかと考えるようになった。戦争と占領を見直してみると、自分の愛国心が政府に利用されたと考えるようになった。兵士としてイラク・アフガンに派遣されたとき、軍によってとても狭められた視野だった。でも、限られた自分の視野でさえもアメリカの政策というのが、アメリカ市民のためにも、イラクの人々を救うことにもならないと十分に気づいた。民間人としてこの8月末〜9月にアフガニスタンに行った。民間人として行ったのでもっと視野が広くなって確信を深めた。アメリカのアフガニスタンに対する政策というのは、何もアメリカ人を救うことにはならないし、アフガニスタンの人々を救うことにもならない。それ以降反戦活動に従事する。今は人道支援にも活動しようとしている。

質問「具体的に疑問を感じたことは?」
リック:歩兵部隊の歩兵でライフルを持ち、敵アルカイーダ・タリバンを見つけて捕らえるという任務だった。そのためには情報が必要で通訳をつけて探った。しかしその情報は何一つ本当だったことはなかった。地元のアフガンから情報を得るために、アフガンに物資や現金を払っていた。今でもPRT(地域復興支援チーム)という軍隊に慈善活動や復興活動をする民間人が一緒になって活動するやり方がある。そのやり方は、私がアフガニスタンでしていたことと全く同じやり方だ。アフガニスタンは水道もない、あらゆる物資もない、貧困に苦しむ人々がいる。お金や物資が情報と引き替えに与えられるというのでどんな事でも口にする。お金や物と引き替えに情報を得る、その情報に基づいてすぐに軍事行動に移る。その情報のほとんどが全くのでたらめでそれが嘘だとわかっても遅い。すでに軍事行動に移っているから。情報に基づき夜に家宅捜査をする。家を包囲し窓を割りドアを蹴破り侵入する。
アダム:イラクから帰ったとき、疑問は抱えていなかった。海兵隊では「疑問を持ってはいけない!」と言われていたからだ。戦場で疑問を持つのは許されない。とにかく生き残ること。それを考えなければいけない。イラクに派遣されていたとき、政府によるプロパカンダを全て信じていたし、イラクの人々を救う民生部隊の任務も信じていた。本国に帰ってから自分は距離をおいて戦場の経験を1つ1つ見直した。確かにいくらかいいこともしたが、何の成果もあげていなかった。

質問「リックへ、民主党でPRT部隊に日本の民間人や自衛隊を送ってもいいと考えている人たちがいる。どう思いますか?」
リック:NATOや米軍の政策に協力するのは大きな過ちです。一旦始めてしまって元に戻すのはとても難しい。例えばインド洋の給油活動はやらないとしても、アメリカの政策に対して例えば一部反対したとしても、実際に日本政府がやっていることはアメリカの政策を支援していることに変わりはない。
アダム:今のインド洋給油活動は憲法9条に違反していると思う。PRTに参加することは、軍事ではないがアメリカの政策を支援していることに全く変わりがない。軍事作戦と人道支援、これは同じようにアメリカの政策支援だ。日本がアフガニスタンの政府を直接支援するとしても同じ事だ。アフガニスタン政府はアメリカの道具にすぎないからだ。アフガニスタン政府はアメリカが作り出した政府で腐敗しきっているからだ。

質問「今のアフガニスタン選挙についてどう思う?」
リック:選挙のすぐあとで現地へ行った。正当な選挙ではなかった。立候補者が20人!そのうち1人だけまともで、あとは犯罪者のような戦国武将たち。1000人投票して100万人の票が入っているという。またライフルを突きつけられて誰に投票しろと脅される。選挙管理局に異議申し立てが殺到した。どの候補者も不正を働いている。欧米に向けてちゃんとした政府ができたとアピールするための芝居みたいなものだ。マラライ・ジョヤという有名な女性議員がいた。26歳で議員になり不正を暴こうとした。しかし議員を剥奪され、刑務所に送られると脅迫され、暗殺計画も5回試みられたという。それで国外へ逃げなければならなくなった。真実を話そうとしたからそうなった。

質問:「撃たれたイラク人の車での写真について、どうしてそんな事ができたのか」
アダム:戦場の危険な所に身を置かれる。戦場で米兵はとても凶暴に行動するのは正義のために闘うと信じていたからだ。アメリカではとんでもないことを人に信じさせる。するとどんな恐ろしい事でもやるようになる。米軍のシステムはそういうもの。訓練するシステムになっている。特に海兵隊は凶暴性を誇りに持っていて、凶暴な自分を解き放つのだ。
リック:自分らがプログラムされた。その原因はアメリカの外交政策にある。軍服を着ている男女の兵士は犯罪者というものではない。犯罪者は外交政策だ。
アダム:海兵隊員は悪人ではない。彼らがおかれた状況のためだ。沖縄にも海兵隊がいるが、悪い人間ではない。

質問:「状況というのは?戦場?軍隊?」
アダム:軍隊の訓練によるプログラムと戦場の状況。実際戦場に立つことによって真実がわかる。
リック:状況に対する理解が足りないために凶暴な行動にでた。教え込まれたプロパカンダは、「イスラム教徒は皆テロリストだ!」。今回民間人としてアフガニスタンへ行って驚いたことは、タリバンを恐れる以上に自分らの政府を恐れていること。一般市民はタリバンを嫌っているがそれよりアフガニスタンにいる外国軍や自分の政府の方を恐れている。でも、アメリカではプロパカンダによって、タリバンが一番危険なものと思わされている。安全保障のために多くの兵士を送るのはイカサマだ。では何のために?それはごく少数の人に利益を供給するためだ。プロパガンダによるとタリバンがケシを栽培して麻薬を作っている、しかし実際に現地へ行って聞いてみるとタリバンが栽培しているケシは全体の2%に過ぎない。残りの98%を栽培しているのは戦国武将と呼ばれている人たちでその人たちが麻薬の取引を行ないその人たちはアフガニスタン政府の内部にいる。このような占領が行なわれている中、多くの市民が残虐に殺される。その一番の理由は敵と無実の人を見分けることができないからだ。
「Thank you very much」

2009年9月27日
リブ・イン・ピース☆9+25 OK