シリーズ『冬の兵士――良心の告発』を観る(その6)
偽装工作「爆弾を埋めるために使われるシャベルを持っていき、市民を間違って射殺した時、それを死体の上に置けば、武装勢力だったと言える」

 これは、海兵隊員ジェイソン・ウオッシュバーンの証言です。彼は実に4年間のうちにイラクに3度も派遣されました。2003年はヒッラ、04年から05年にかけてはナジャフ、そして05年から06年にはハディーサに駐留していました。偽装工作については当時より疑われていましたが、明確な形で暴露されたのは限られており、実際に偽装工作を行った兵士の証言はきわめて重要です。米軍に対するイラク人の抵抗闘争がますます激化し、とりわけ路傍爆弾に米軍が悩まされるようになるにつれ、市民を容赦なく撃ち殺していった様子が伝わってきます。そして罪もない市民を撃ち殺した場合の偽装工作を米軍が組織的に行っていたことも明らかになります。
イラク:ハディーサの市民無差別虐殺(署名事務局)
 署名事務局が2006年6月に紹介したこの記事では、市民の無差別殺りくを撮ったビデオが決定的証拠となりました。ジェイソン・ウオッシュバーンもこの時ちょうどハディーサにいました。

 以下やや長めに TUP冬の兵士プロジェクトチームの翻訳より引用します。彼は、罪のない市民に対して「めちゃくちゃに」やって、タクシーの運転手などを無差別に殺害した事実などを告白した後に以下のように締めくくっています。
 ジェイソン・ウオッシュバーン「そのほかにも、ほとんど暗黙の了解のもとで勧められていたことがあります。証拠として残していくための武器を持参することです。3度目の派遣時にはシャベルを持参することになりました。つまり、武器かシャベルを常に持参していれば、うっかりと市民を撃ち殺してしまった場合に、ただその武器を死体の上に放り投げておくだけで、彼らを反乱分子のように見せかけることができるからです。もしくは、私の友人たちがここで証言したように、3度目の派遣時には、もしイラク人がシャベルを持っていたら、または重そうなバッグを持っていたら、もしどこかを掘っていたら、特にそれが道路のそばだったら、彼らを撃っていいと教えられました。ですから、実際にこのような道具や武器を車に積んで運んでいて、うっかりと罪もない市民を撃ち殺してしまった時には、彼らの死体の上に放り投げておいて、こう言えるのです。「なーに、あいつは掘っていたんだ。交戦規則の範囲内さ」。これは、ひろく勧められていたことですが、陰でこっそりとだけでした。確かにおおっぴらに命じるようなことではありません。しかし、そうです、とても一般的に行われていたのです。」
イラク・アフガニスタン帰還兵の証言(3) 交戦規則(3) ジェイソン・ウォッシュバーン 翻訳 福永克紀/TUP冬の兵士プロジェクトチーム)

 この偽装工作は、ドロップ・ウェポン(Drop weapon)という広く行われているやり方あることが「冬の兵士――良心の告発」のホームページで紹介されています。
Soldiers Discuss Using "Drop Weapons" To Cover Up Killing Innocent Iraqi Civilians

2009年3月31日
リブ・イン・ピース☆9+25