ウクライナ戦争の拡大反対。直ちに停戦を
欧州の燃料・物価高騰反対、ロシア制裁止めろの声と連帯を
(1)停戦・和平反対の言論弾圧、戦争拡大への暴走に反対する

ウクライナ戦争は非常に危険な段階に
 ウクライナ戦争は新しい非常に危険な段階に入っています。米・NATO・ウクライナ軍の9月の電撃的進撃、ノルドストリーム爆破、クリミア橋へのテロ攻撃とロシアの報復としてのウクライナの発電所インフラへの本格的ミサイル攻撃、ザポリージャ原発への度重なる攻撃などが相次いでいます。戦争がさらに拡大する兆候を示しています。ロシア・米NATOの両方が戦争拡大の危険を感じています。バイデン大統領は「ロシアによる核戦争の危険」を警告していますが、プーチン大統領はロシアからの核使用を否定し、逆にウクライナの汚い核爆弾の危険と、米NATOによる核戦争への拡大する危険を訴えています(※1)。ロシアはまたイギリスがノルドストリーム爆破にかかわったり、ドローンによるセバストーポリ攻撃をお膳立てしたと非難しています(※2)。モスクワの米国大使館は9月28日に、イタリア大使館は翌29日に、ポーランド外務省も9月27日に、自国民にロシアを緊急に離れるよう要請しました。現実に戦争がウクライナ全土に及び、さらに米NATOにも広がり欧州戦争、世界戦争さらには核戦争につながりかねない危険な状況にあります。
 まずは、この拡大スパイラルをストップしなければ米・NATOとロシアとのヨーロッパ戦争になりかねません。バイデン大統領やゼレンスキー大統領は、ロシアとの話合いをしようともせず、停戦交渉の提案も無視し、核危機を弄んでいます。しかし、ゼレンスキー大統領が言うようにロシアを領土から駆逐し、クリミヤを取り戻すまで闘うことは、際限の無い長期の闘いで、無数の兵士と市民を犠牲にして闘うことです。戦争で国土が破壊され、仕事を失い、国家が欧米への借金で破産します。2014年以来のウクライナの内戦とロシア語系住民への差別と抑圧も解決さず、逆にロシアに協力した市民への報復大量虐殺が起こりかねません。さらに戦争と制裁が続くことで、世界中が食糧危機や燃料費高騰、物価高騰と生活苦に見舞われ、子どもが、女性が、老人たちが追いつめられるのです。戦争で利益をえる欧米の軍需独占体とエネルギー産業だけが戦争を継続・拡大したいのではないでしょうか。
 戦争の拡大や核戦争の危険の増大、さらには制裁によるインフレと物価高騰に危機感を抱いた国々や団体や諸個人が即時停戦の声を挙げ始めています。9月下旬の国連総会で、新興・途上諸国を中心に66カ国が演説で停戦、平和的交渉を通じての解決を要求しました。国家数で3分の1、人口で大半を占めます(※3)。9月中旬の上海協力機構(SCO)サマルカンド・サミットでも、中国が主導して停戦・和平を呼びかけました。メディアでは報じませんが即時の停戦こそ世界中が要求すべき内容です。
※1 ヴァルダイ国際討論クラブにおけるプーチン大統領の主要発言
※2 ノルドストリーム爆破、英海軍が関与=ロシア国防省
※3 「ウクライナでの停戦」国連総会で66カ国が言及

停戦反対=徹底抗戦を煽る異常な言論状況
 9月に入ってウクライナ軍が快進撃をしてから、ワイドショーや報道番組、ニュースはロシア敗退の戦況報道一色になりました。次いで、部分動員批判とその後の混乱報道一色。そして住民投票・併合批判一色。今ではロシアの敗北が見えてきたと煽っている。ロシアの敗北、プーチンの打倒までもう一息だ、いまこそウクライナに武器や資金の支援を強め用というわけです。反対に、親ウクライナ・反ロシア以外の報道は主要なメディアから排斥されている状況にあります。
 西側政府・メディアが、言論抑圧、言論統制の先頭に立っています。戦争を煽る言論の自由はあるが、停戦を要求する言論の自由はない状況です。保守・極右はもちろん、左翼の一部や人権団体までもが停戦に反対し、ロシアの一方的撤退、一方的降伏を要求しています。リベラル系反戦団体が、ウクライナ支援を理由に、ウクライナの徹底抗戦、米・NATOの介入や武器供与・戦費支出を支持するという異常な状況になっています。停戦要求は即プーチン支持、親ロシアの裏切り者とされ排撃されるのです。イーロン・マスク(ウクライナ軍に大量の衛星通信電話スターリンクを提供した)やジェフリー・サックスでさえ、停戦と交渉を呼びかけるや否や一斉に袋だたきにあいました。米民主党の左派議員30人がバイデン大統領に停戦交渉に向けて大統領が動くべきだとの意見書を送りましたが、周囲からの激烈な攻撃で、わずか1日で撤回を余儀なくされました(※4)。異常なほど戦争継続翼賛、停戦要求など論外だという圧力がかかっています。
 西側メディアの煽る「ウクライナの勝利はあと一歩」はウソです。ウクライナの勝利は幻想です。確かにハリコフ周辺では大幅にロシア軍を押し返しましたが、いまや戦線は膠着しています。南部へルソン州でも何度もロシア軍がドニエプル川を渡って撤退すると情報が流されます。しかし、まだ撤退の動きはなく、たとえ撤退しても防御を固めることが目的でウクライナの勝利とは結びつきません。ロシア軍は守勢に回っていますが、部分動員を発令して増員しその兵力は併合した地域を防衛する十分な力を持っています。結局は長期戦になるのです。最終的には兵員数でも、武器の数でも、産業や資源でも大きく上回るロシア軍の打ち負かすことは極度に困難です。この状態で戦争を続けることは犠牲者が増えるだけと分かっているのに、ゼレンスキー大統領も米とNATOも停戦の動きに敵対し続けています。このような報道を歓迎し戦争の継続を求めているのは西側諸国だけです。グローバルサウスと世界の大半の人々は停戦と交渉による解決を求めています。
※4 Progressive Caucus reversal shows U.S. Congress allows no antiwar voice

ウクライナ反戦の新しい緊急任務
 戦争拡大の危険性に直面して、ウクライナ戦争に対する反戦運動は以下の新しい緊急の課題に直面していると考えます。
 まずはじめに、ウクライナ戦争が拡大する超危険な段階に入っていることに警鐘をならすことです。いまや戦争継続、拡大の張本人が米・NATOであり、それに追随するゼレンスキー政権であることはますます明白です。それを暴露することが必要です。
 第2に、私たちは、ロシアが主導したウクライナ東部・南部地域4地域の住民投票とロシア併合に反対します。しかし、このことはゼレンスキー政権の「クリミヤ奪還まで闘う」や米・NATO主導の戦争拡大スパイラルの支持を意味しません。私たちは停戦を要求します。停戦して話しあう中でしか4地域の問題も解決することはできません。
 第3に、今こそ、米・NATOが主導するウクライナ戦争の拡大スパイラルを阻止し、ロシアの一方的撤退、一方的敗北ではなく、相互の妥協・譲歩による停戦・和平交渉へ進むこと、ロシアを含むヨーロッパ規模の安全保障の枠組みを作り上げることが必要であると訴えます。
 最後に、米・NATOは、ウクライナ介入に続き「台湾有事」「朝鮮半島有事」への介入を強めています。米国の侵略性、好戦性の異常な拡大を批判し、反米・反帝の反戦運動を呼びかけます。

2022年11月13日
リブ・イン・ピース☆9+25