リブ・イン・ピース☆9+25声明
ロシアのウクライナに対する軍事行動に反対する
米・NATOは東方拡大をやめよ。ウクライナのNATO加盟反対

(1) 私たちはロシアのウクライナに対する全面的な軍事行動に反対します。軍事力で制圧しても両国の安全保障問題は解決しません。市民の犠牲が広がるだけです。ましてや核兵器をちらつかせることは絶対反対です。ロシアは直ちに軍事行動を停止し、ロシア・ウクライナ間で政治的対話と交渉を行い、合意と撤兵に進むことを要求します。
 同時に、私たちは米国や北大西洋条約機構(NATO)諸国が大規模な「制裁」で「無条件撤退」「人民共和国独立承認取り消し」を強要することにも反対です。ロシアを一方的に非難するだけでは、地域の平和と安定の環境は作れません。逆に問題を更に深刻化させるだけです。
 米・NATO諸国は、この間、米ロ首脳会談でも、仏露会談でも、下記のロシア側が求めてきた切実な要求を一顧だにせずゼロ回答を続けました。それどころか、戦争を煽り続け、ウクライナに武器・弾薬を送り続け、周辺諸国に米・NATO軍兵士を派兵してきました。真剣に対話する、問題の解決に臨むという態度を一切とりませんでした。
 米・NATOが今考えているのは、この機に乗じてロシアを窮地に陥れ、軍事的・経済的に破綻させ、プーチンを追い詰めることです。バイデン政権は、最近軍事戦略を軌道修正し、対中軍事封じ込めと対ロ軍事封じ込めの二正面で軍備拡張を推し進めています。私たちは、米・NATOのこのような目論見に加担してはならないと思います。

(2) 私たちは、ロシア・ウクライナ間で停戦と対話に進むには、今回の問題の根源に解決の道筋を付けなければならないと思います。なぜなら、今回の事態の根本原因は、ロシアを軍事的に包囲し孤立させてきたNATOの攻撃的な軍事戦略にあるからです。
 私たちは問題の解決のためには、[1]ウクライナのNATO加盟を認めないこと、米国とNATOが東方拡大をやめること。ロシア包囲のために東欧に持ち込んだ兵力、基地、攻撃ミサイルを撤去すること、[3]ウクライナ東部における厳格な停戦、住民を無差別に攻撃し虐殺してきた親ナチ部隊(アゾフ大隊)の解体と住民に対する安全の保障、[3]核兵器搭載可能な中距離ミサイルのウクライナ配備(モスクワに数分で攻撃可能)を行わないこと、この三つが必要と考えます。そしてこの三つをロシアとウクライナだけでなく、米国とNATOも含めて合意することが地域の平和と安全保障のためには必要です。
 中国の王毅外相は、「ロシアの安全保障上の懸念を理解している」と述べましたが、それは、こういうことなのです。そして中国政府は、「持続的安全保障」には、ロシア側の安全をも担保しなければ持続的な平和は実現しないと主張しています。私たちも同感です。

(3) 日本を含む西側政府・メディアは、今回のロシアの軍事侵攻だけを取り上げ、非難しています。しかし、自分たちのやってきた対ロシアの軍事的包囲については全く触れていません。米欧諸国がソ連との間で国際公約として合意した「NATOを東方へ拡大しない」という合意を公然と破ったことも触れません。それでは問題の解決にはならないのです。
 今回の事態を生み出した根源は、米国とNATOの東方拡大政策、それに便乗したウクライナのゼレンスキー大統領です。米国は1990年のドイツ再統一の際にソ連のゴルバチョフ大統領に対して、ソ連の安全保障のためにNATOを東に拡大しないと約束しました。これは国際公約です。ところが、米欧諸国はソ連崩壊後この約束を反故にし、5回にわたって東欧諸国をNATOに加盟させました。NATOの東方拡大です。NATOはソ連崩壊後も米軍基地やミサイル、米軍部隊を東欧に配置し、ロシアに対して敵視と軍事的包囲強化を止めませんでした。結局、米国に従わない国がなくなるまで軍事包囲を止めるつもりがなかったのです。
 ロシアの危機感に輪をかけたのがゼレンスキー大統領でした。昨年3月に、ゼレンスキー大統領は、必要なら武力でのクリミア奪還を辞さないと宣言し、NATO加盟をめざすと公言しました。NATOに加盟して、集団自衛権を背景にロシアと軍事対決する危険極まりない方針です。NATO条約に従えば、加盟国ウクライナがロシアと戦争すれば「集団的自衛権」が自動的に発動され、米・NATOとロシアとの全面戦争に発展するのです。ウクライナのNATO加盟とはそういう極めて危険な挑発行為なのです。しかもゼレンスキー政権の軍隊はネオナチ軍と一体です。ウクライナ東部やクリミアを攻撃する危険は十分ありました。
 国境までNATOが拡大し、深刻な軍事的脅威を受けるとロシアが感じたのは当然です。ロシアはウクライナへのNATO拡大を断念するよう呼びかけましたが、米国とNATO諸国はこれを拒否しました。NATOがウクライナ受け入れを拒否していればロシアの侵攻はなかったのです。

(4) もう一つ重大だったのが、2014年に米政府が主導し、米欧の諜報機関や民間軍事会社が先導する形でクーデターを起こしたことです。「マイダン革命」と呼ばれます。公式に選挙で選ばれた親ロシアのヤヌコービッチ政権を、「不正選挙」を口実に打倒したのです。米欧諸国が旧ソ連圏で大衆の不満を煽り次々と政権転覆を起こした「カラー革命」がウクライナでも決行されたのです。米国のビクトリア・ヌーランド国務次官補やジェフリー・パイアット駐ウクライナ米大使(いずれも当時)が直接関与していたことは、後に暴露された有名な話です。
 しかし、その時、米とCIAは軍事的手段も使いました。極右民族排外主義者、親ナチ武装部隊(アゾフ大隊等)をクーデターの主力に据えたのです。彼らは今もウクライナ軍部と一体です。西側政府・メディアはこの時、非難するどころか大々的に歓迎し、ネオナチの虐殺を隠蔽しました。
 その後、これらネオナチ武装勢力は東部ドネツク、ルハンスクのロシア系の人々を攻撃し、これまでに1万5千人も殺してきたのです。この2014年当時、凄惨な衝突の末、ようやくにして両地域の住民に、ウクライナ、ロシアも加わって「ミンスク合意」が締結されました。これに従って停戦を実施し、特別の自治権を認めていれば今回の事態は起きませんでした。
 そしてヤヌコービッチ政権打倒の後に、米欧政府がすげ替えた傀儡政権ポロシェンコ政権は一貫してこの「合意」実施をサボタージュしつづけ、ゼレンスキー大統領が昨年1月に遂に「ミンスク合意」を履行しないと言明したのです。今、メディアはロシアが「ミンスク合意」を破ったと非難していますが、すでに1年前にウクライナ側が破棄を宣言していたのです。ロシア系の人々は命と権利の保障を求めて二つの人民共和国の独立承認と保護をロシアに求めるしか道がなくなりました。親ナチ武装部隊の攻撃を後押し、ロシア系住民の命と権利の危機を生み出したのはウクライナ政府とそれをそそのかす米欧政府です。

(5) 今、西側政府・メディアは、「プーチン悪魔論」「ロシア軍の無条撤退論」の宣伝一色です。私たちは、今こそ冷静に、こうした歴史的経過を学ばねば、踊らされるだけです。かつて、メディアは、米・NATOのアフガニスタン侵略を非難するどころか煽りました。イラク侵略を、ありもしない「大量破壊兵器」を口実に煽りました。リビアへの侵略もそうです。これらの西側の侵略の際には、一切非難しませんでした。
 確かに、ウクライナに全面的な軍事行動を行ったのはロシアです。他国に侵攻し,軍事力で制圧することは国際法に違反する行為で、許されません。しかし、米国とNATO、ウクライナ政府がロシアの安全保障上の危険とロシア系住民の命と権利に脅威をもたらしたことも事実です。ロシアだけが悪者であるかのように描く政府やメディアの報道は悪質な世論操作、デマゴギーです。世界中を煽り立て、ロシアを政治的・軍事的に包囲し、孤立化、弱体化させることこそが、米・NATO諸国の狙いです。そのような行動はさらなる対立と紛争激化しか生みません。必要なのは欧州全体で共存、協力でき、互いに安全を保障できる枠組みです。
 私たちは、日本政府がロシアを拡張主義、強権主義の権化にように描き、米国とNATOの制裁に同調することに反対します。制裁では何も解決しません。国会の中で「次は台湾だ」等のデマを公言し、「9条があるからだめだ」「国を守る信念と覚悟が必要だ」などと、これをきっかけに、対中戦争準備・対中軍拡をを加速させようとすることに反対します。
 安倍政権の下で戦争法が作られ集団的自衛権が容認されてから、米国やNATO諸国が関係して戦争になった場合、日本が自動的に参戦する構造が作られてきました。欧州でもし戦争が広がれば、そこに日本も参戦する危険性が大きいのです。
 私たちは日本政府に対して、米欧政府と一緒に戦争の激化を煽るのをやめて、相互尊重と協力の立場に立って、平和と安定をめざす外交へ転換することを要求します。今回の事態は、軍事力や軍事ブロックを振りかざして相手を威嚇することが、平和と政治的安定を作らず、戦争につながる危険極まりない行為であることを示しているのです。

2022年2月26日
リブ・イン・ピース☆9+25