米・ウクライナによる非人道兵器クラスター弾使用を糾弾する
岸田政権のクラスター弾使用容認を許すな

 バイデン大統領は、7月7日にウクライナにクラスター弾(155ミリ砲弾)を供給することを決めました。早くも7月13日にはクラスター弾はウクライナに運び込まれ、同20日には、カービー戦略広報調整官は「使用された」と明らかにしました。しかも平然と「効果的だった」と言い放ったのです。私たちはクラスター弾使用を満身の怒りを込めて糾弾します。
 米国は、中国やロシアやキューバや多くの新興・途上諸国に対して、繰り返し、「人権」や「民主主義」を理由に、内政干渉や制裁を発動してきました。イラクにはありもしない「大量破壊兵器」を理由に侵略しました。究極の非人道兵器、大量破壊兵器=核兵器を史上初めて使用したのも米国です。自分だけは、「非人道兵器」を使っても許される「特別な国」とでも言うのでしょうか。その二枚舌、偽善には呆れます。
 バイデンは、弾薬が足らないことを理由に挙げていますが、それなら停戦・和平協議をすればいいのです。また、「反攻作戦」で使うとも言っていますが、「反攻作戦」など少しも進んでいないばかりか、双方の兵士・住民の犠牲を増やしているだけです。なぜ米国はいつまでもウクライナに戦争をやらせるのでしょうか。私たちは、バイデン政権に対して、兵器・弾薬の供給をやめ、即刻、停戦・和平を決断するよう要求します。

クラスター弾は条約で禁止された非人道兵器
 クラスター弾は国際条約で製造・使用・譲渡が禁止された非人道兵器です。砲弾(爆弾)から飛び出した多数の子弾が爆発し一定の地域を制圧するのに使われました。殺傷力が強いので米国などが大量に使用、保有しました。しかし、かなりの比率で不発弾を生み出し、戦争後にそれに触った子どもや市民に被害を与え続けています。過去にクラスター弾は莫大な被害を引き起こしました。ベトナム戦争の時に、米軍はベトナム、ラオス、カンボジアで大量にクラスター爆弾を使いました。最大の被害国であるラオスでは200万トンのクラスター爆弾が使われ、戦後に8000万発の子弾が残りました。そのために1964年から2011年の間に5万人以上の住民が死傷させられました。1999年にはユーゴ戦争で英軍が使用しコソボに1万発以上の不発弾がばらまかれ、被害を出しました。アフガニスタン、イラクの戦争でも米軍は大量のクラスター爆弾を使用し、多数の市民が犠牲となり、今も犠牲が出ています。戦争が終わっても長く非戦闘員を殺し続ける非人道兵器がクラスター弾(爆弾)なのです。

世界中の反対の声で禁止に
 アフガニスタン、イラク戦争で米国が使ったクラスター爆弾の悲惨な被害を見て、世界中でNGOや平和団体が使用反対の声を上げました。これを受けて2008年には「クラスター爆弾に関する条約」(オスロ条約)が作られ、クラスター爆弾・クラスター弾の製造・使用・譲渡が禁止されました(2010年発効)。オスロ条約には123か国が調印し、111か国が批准しています。英国、イタリア、スペインなどNATO諸国も参加し、日本政府も批准しました。条約に従って日本は自衛隊の保有していたクラスター弾を2015年に廃棄しました。米国、ウクライナ、ロシア等は条約に参加しませんでしたが、国際世論に押されて事実上製造や輸出を停止しました。米国は国内法で不発率が1%を超えるクラスター弾の他国への供与を禁止しました。不発率1%以上には国内に蓄えられたほとんどのクラスター弾が該当しました。事実上備蓄弾薬を凍り付けにし使用させないようにしてきたのです。

バイデンの決定は、非人道兵器の復活に他ならない
 ところがバイデンの決定はこの世界的な流れさえ逆転させるものです。ウクライナでのクラスター弾の使用について、国連高等弁務官事務所やクラスター弾に反対するNGOや平和団体が即座に反対の声を上げています。米国内では民主党大統領候補に名乗りを上げるロバート・ケネディー・ジュニア議員らも反対を表明しました。ラオスなど被害を受け、いまも悩まされている国も反対の声を上げるなど、世界中が反対の声を上げています。NATOの中でも英国、イタリア、スペインなどはクラスター弾禁止条約に加盟しています。彼らはクラスター弾に自分たちは反対だといいます。しかし7月11日からのNATO首脳会議の中で使用に反対する声も上げず、止めさせようともしませんでした。ポーズだけの反対で偽善的な態度そのものです。一番ひどいのは日本政府の態度です。日本もクラスター弾禁止条約には加盟していますが、松野官房長官は10日の記者会見で米国の供与に反対するどころか、「ウクライナ国内限定で、市街地では使用しない」と言っているからと米国の供与とウクライナでの使用に理解を示して支持しました。驚くべき事です。劣化ウラン弾とい言いクラスター弾といい、どんなに非人道的で環境や自然を破壊する兵器であっても米や同盟国が使用するものは正義だという、恥ずべき屈従ぶりには驚くばかりです。

豊かな大地と畑に数十万発の爆弾をばらまき、今後何十年も住民の命を奪い続ける
 バイデン大統領はCNNとのインタビューで(民間人に与える被害を考えると)「自分たちにとって非常に難しい決定だ」と言い訳をしましたが、それなら戦争をやめればいいわけです。全くの偽善者の物言いです。しかも供与は大統領安全保障チーム全会一致だと言います。つまり非人道兵器としての危険性を認識しながらあえて使うことに決めたのです。
 そしてその理由について「ウクライナが砲弾切れになりつつあるからだ」とあからさまに本音を語っています。米国の155ミリ砲弾の生産能力は月2万発程度に過ぎないのに、ウクライナでは1日に1〜2万発もの砲弾が使われ、米国の砲弾備蓄が急速に枯渇しているのです。米軍は300万発のクラスター砲弾を持っています。もちろん不発弾の割合は1%などには収まりません。1発のクラスター砲弾(M864)には88発の子弾が入っています。それが地面や空中で爆発します。不発率は初期の砲弾で6%、最近のものでも2.5%ですから、砲弾1発について2発の不発子弾が出ます。10万発のクラスター砲弾を撃てば地域に20万発以上の不発弾がばらまかれます。米政府は「都市部では使わない」とごまかしますが、今最前線となっているところこそ農業地帯そのもので、豊かな大地と畑に数十万発の爆弾をばらまき、今後何十年も住民の命を奪い続けることになるのです。バイデンと米政府が下し、日本政府も理解を示し容認したのはこんな決断です。

バイデンとNATOは戦争を拡大するな、直ちに停戦し話合え
 ロシアのプーチン大統領はウクライナがクラスター弾を使えば、同様の対応をすると発言しました。これまで使用は犯罪だと認識し使わなかったが、ウクライナが使うならロシアにも権利があるというのです。ここでも米国の行動が戦争のエスカレーションを生み出しています。そもそもロシアや中国がクラスター弾の廃棄に踏み出さなかった原因は、最大の保有者である米国が廃棄しなかったからです。バイデン大統領が後押ししたクラスター弾の使用は、@戦争の激化と戦争犠牲者の拡大、A何十年もの不発弾の残存と被害、Bさらに戦争を拡大する可能性につながります。
 先のビリニュスNATO首脳会議はクラスター弾の使用に反対せず、逆にウクライナを軍事的に全力で支えることを宣言しました。そればかりか、従来4万人にまで縮小していたNATO即応軍を30万人まで拡大する昨年の決定を本格的に実行に移し、ソ連邦崩壊以来初めて対ロシアで戦争態勢を本格的に確立することを決めました。いわば戦争のドラムを大きな音で鳴らし始めたのです。米国とNATOの挑発が現実にウクライナ戦争を欧州戦争、世界戦争に拡大する危険性を増大させています。危険極まりないことです。
 私たちはクラスター弾の使用に反対します。米国はクラスター弾の供与を中止せよ。戦争の加速ではなく、直ちに停戦し、政治的解決を目指すべきです。

2023年7月21日
リブ・イン・ピース☆9+25