サイバー攻撃糾弾! トランプはイランへの戦争行為をやめろ
新たな制裁を撤回し、「核合意」に復帰せよ

 6月20日に米国はイラン情報部とイランの対空ミサイル/レーダー部隊のコンピュータに対してサイバー攻撃をしかけたと発表した。トランプ大統領は、サイバー攻撃なら「人は死なない」し、イランも物理的な攻撃で反撃しないだろうと勝手にたかをくくって攻撃したのだ。いうまでもなく、他国に対するサイバー攻撃はあからさまな戦争行為、侵略行為だ。私たちは、トランプ大統領のあからさまな戦争行為を糾弾する。攻撃されたイランが報復に出れば、戦争は中東全域に広がる。米・イランだけでなく中東全域、世界中を大規模戦争に巻き込むだろう。戦争を弄ぶトランプと米政府の傲慢さは許されない。
 さらに24日にはトランプ大統領はイランのハメネイ氏や革命防衛隊幹部に対する追加制裁措置を発動した。原油と鉄鋼などの輸出に対する制裁で収入を断っておいて、さらに指導者個人に制裁を拡大し、相手国が食料や衣料品など必要なものを輸入を阻止するものだ。米政府が対ベネズエラでも行っているこの制裁措置は、人民大衆とりわけ貧しい人々、弱い人々を痛めつけ飢えさせる、極めて非人道的な経済的戦争行為だ。直ちに制裁を撤回することを要求する。

わずか10分前に攻撃中止。トランプは戦争をもてあそぶな
 20日、サイバー攻撃に先立って、トランプ大統領はイランの3カ所のミサイル/レーダー部隊に対する攻撃命令を出した。早朝に無人偵察機トライトンMQ-4(大型のグローバルホーク偵察機の海軍型)をイランにミサイルで撃墜されたことに対する報復としてだ。命令に従って米艦船はトマホークミサイルの発射態勢に入り、基地を出撃した航空機もミサイルを発射する直前までいった。攻撃開始のわずか10分前にトランプ大統領が「考え直して」攻撃命令を取り消したため、攻撃は行われなかった。
 私たちはトランプが世界を巻き込む戦争を始めようとしたことを糾弾する。本当に戦争開始の直前まで行ったのだ。トランプは、無人偵察機撃墜では死者が出ていないのに、米軍が攻撃すればイラン人が150人は死んで釣り合わないから中止した、とツィートした。攻撃を中止した一番の原因は、この攻撃を行えば確実にイランが報復攻撃に出て、中東各地にある米軍基地と米兵が攻撃対象となり、それを防ぐことはできない事だろう。そうなれば米兵の犠牲が避けられず、米が再度報復をすればイランとの全面戦争が避けられない。それがトランプを止めたのだろう。戦争になればトランプの支持率は一層低下することを恐れたのだ。
 しかし、国家安全保障会議ではイラン政権転覆論者のボルトン補佐官とポンペオ国務長官がトランプ大統領についにイラン攻撃を認めさせたのだ。この後で行われたサイバー攻撃は、中止された物理攻撃の代替手段だった。しかし、「手控えた」との言うのはトランプや米政府が勝手に思っているだけで、米に一方的にサイバー攻撃されたイランにはとうてい認められない。もちろんイランは戦争になることに反対し、最大限自制しようとしているように見える。しかしサイバー攻撃が戦争の拡大をもたらさないとは誰も保証できない。そして、その被害はとてつもないことになる。この危険極まりない事態は深刻で、戦争直前の状態は今も続いている。米国がイラン戦争を仕掛けることを絶対に許してはならない。

米はイランへの挑発行為をやめろ


 もともと無人偵察機トライトン撃墜は米軍の明らかな挑発行為だった。米軍は無人偵察機は公海上を飛んでいたと主張する。イランは領空を侵犯したから撃墜したと言う。しかも事前に何度か警告したにもかかわらず領空侵犯を辞めなかったので撃墜したという。イランは哨戒機P-8も活動していたと主張する。トライトンがイラン領空を侵犯していた可能性は大きい。対空ミサイルの命中までの飛翔時間は短く、残骸がその日のうちにイランに回収された。もし公海上に落ちたら米軍がイランの回収を阻止しただろう。また命中した瞬間の写真も公表されているが、イラン側の写真は鮮明で細部まで写っており、米側の写真よりはるかに近い。
 何よりも当時行っていたと思われる任務そのものが領空侵犯の信憑性を増す。トライトンの飛行経路は、米軍発表ではイラン領空ぎりぎりを飛行し、イラン発表では領空に侵入しているが、トライトンがイラン領空境界に沿って(あるいは侵入して)意図的に飛行していたことは確かだ。トライトンは高度15〜20キロの高空を飛行し、広域を偵察する偵察機だ。撃墜された高度も15キロだ。ホルムズ海峡付近の船舶の航行の監視やイランの艦船監視ならこんな経路を飛行する必要はない。もっとオマーン側に寄ったところを飛行すれば十分だ。
 それではトライトンはイラン領空付近で何をしていたのか。イラン側の発表では対潜哨戒機P-8も付近にいたというから、トライトンとP-8が連携して作戦していたのは確実だ。トライトンは領空すれすれ、あるいは意図的に侵入して、内陸部をのぞき込みイランのレーダー基地/ミサイル基地の機能、周波数や電波情報を収集していたのだ。それは戦闘になったときに真っ先にレーダーをたたき迎撃を妨害するために必要な情報だ。このような挑発的な目的で偵察をしていた上に、領空侵犯を何度も警告されていたなら撃墜されるのも不思議ではない。非は米側にある。
 傍証は他にもある。米軍は化学タンカーコクカ・カレジャスが何者かに攻撃されたときに、上空から無人偵察/攻撃機リーパーで監視していた。そしてこのリーパーに対してイラン本土からSA-7対空ミサイルが発射され、ミサイルは1キロにまで近づいたと発表した。しかし、SA-7は射程数キロの携帯対空ミサイルであり、これを撃たれたことは明らかにこのリーパーも領空侵犯していた可能性が非常に大きい。一連の米−イランの対立の中で米軍が無人偵察機で領空侵犯を繰り返していると考えるべきなのだ。
 いずれにしても米の戦争挑発のエスカレーションの結果が無人偵察機トライトン撃墜であって、それを開き直ってイランのレーダー/ミサイル基地を攻撃しようなど盗人猛々しいというほかない。

トランプの戦争は邪悪の戦争だ。直ちに戦争の恫喝をやめて「イラン核合意」に復帰せよ
 戦争の危険はトランプが2018年5月に「イラン核合意」から一方的に脱退したことからはじまった。「イラン核合意」は米と安保理理事国全体で締結されたもので、イランが核爆弾の材料の高濃縮ウランを作らず、国際原子力機関IAEAの査察の下で商業用原子炉用の低濃縮ウランに活動を限定する、代わりに経済制裁をやめるというものだった。参加各国の合意でイランが核兵器保有をしないための措置を作ったのだ。合意が続く限りイランが核兵器を持つことはなかった。
 しかし、トランプ大統領は「合意はオバマが結んだもので、間違っていた」と一方的に「核合意」から離脱した。そして、イランに核合意で認められた商業発電向けの核開発も、さらにミサイルの開発まで全部やめろと一方的に要求を突きつけたのだ。こんな傲慢な要求をイランが飲むはずもなく、各国も米の行動を非難してきた。その後もイランを含む残りの諸国が合意を守っていたが、米政府はイランが原油輸出することを禁止したばかりか、イランと原油や金属を貿易する国・企業も制裁対象にした。合意を守っている国もイランと取引できないようにした。原油ばかりかあらゆるものを輸出できないようにしてイランを一方的に屈服させようとしてきたのだ。
 さらに5月からはそれまで例外で石油取引を認めてきた日本、中国などへの措置を取り消し、完全に石油取引を禁止し、それにイランが反発を強めることを予想して5月から空母機動部隊、強襲揚陸艦部隊、B52爆撃機部隊、対空ミサイル部隊など軍事力をこの地域に増派し、イランの軍事包囲を強化した。経済制裁で経済をがたがたにし、戦争による脅しを最大限に強化し、軍事力で相手をいたぶって、相手が屈服して全面的にトランプの要求を認めるのを待つ。トランプが朝鮮民主主義人民共和国やベネズエラ、キューバ、シリアなどなどで行っている手法だ。しかし、この傲慢で邪悪なやり方はどこでも成功していない。しかもトランプ政権の中には、交渉で屈服させるのではなく、初めから戦争を仕掛けイランの政権打倒を公言するボルトンらがいて戦争をけしかけている。米国を前に立ててイランとの戦争に持ち込み、イランの弱体化と政権転覆を狙うイスラエル・サウジが謀略も含めて暗躍している。いつ戦争が起こってもおかしくない状態が続いている。その戦争は、米の側からの一方的な侵略戦争、邪悪な戦争である。
 私たちは、トランプ大統領と米政府が直ちにイランに対する戦争挑発と戦争行為をやめるよう要求する。トランプは「各国が自分で自国のタンカーを守れ」などといい、各国の軍隊を対イラン包囲に参加させようとしているが、事態は全く逆だ。この地域で不安定、軍事的緊張を作り出しているのは米の側だ。米軍が追加戦力を撤退するだけで緊張は緩和するし、タンカーの航行は安全が保障される。イランにはタンカーを攻撃して石油貿易を妨害するメリットは何もない。私たちは米政府に直ちに「イラン核合意」に戻ることを要求する。イランへの一切の制裁を解除するよう要求する。

自衛隊の派兵、米の戦争への参加反対、戦争法廃止
 上で述べたようにトランプはすでに6月24日に「自国のタンカーは各国が自分で守れ」とツィッターで公言した。さらにトランプは「米は日本を守るのに、日本は米を守る義務がない不公平だ」といい「日米安保破棄にも言及した」と報じられた。要するに、タンカーなどの航行護衛に自衛艦と航空機を送れ、中東の米軍基地と米軍防衛に自衛隊を参加させろということだ。これを聞いた安倍政権が、トランプから見捨てられることを恐れ、「派遣します」と今すぐにでも言い出しかねない。現状でも米軍には船舶に対する攻撃を防止する戦力はない。警戒や護衛の艦艇、哨戒の航空機の数が足らないから、直ちに各国特に欧州からの、そして自衛隊からの参加を米軍は求めている。戦争が始まってからでなく、いまから、イランを包囲する軍事体制に参加し、自衛隊の艦艇や航空機をペルシャ湾やオマーン湾に送る問題が浮上している。G20で訪日したときにトランプが自衛隊のすぐさまの参加を突き付けてくる可能性がある。
 米が対イランでもし戦争をはじめれば、直ちに自衛隊の参加が全面的に問題となる。イラン側はもし攻撃されればホルムズ海峡を封鎖すると警告している。それに米からの空爆が行われれば、イランの側は各地の米軍基地、米艦隊にミサイル・航空機で反撃する他、ホルムズ海峡を機雷で封鎖するか、通過する船舶にゲリラ的な攻撃を仕掛けるなどで反撃するだろう。
 このような事態こそ、安倍政権が着々と作り上げてきた「戦争できる国」が想定した状況だ。同盟国である米軍が戦争をはじめれば、安倍政権は「集団的自衛権」に基づき参戦を当然のことのように持ち出すだろう。ホルムズ海峡をタンカーが通れなくなれば「戦争法」の「存立危機事態」を宣言する危険もある。現在でもメディアの中では「自国のタンカーをどうやって守るのだ」と自衛隊の派兵を煽る論調が出始めているのだ。
 しかし、さすがの安倍政権も(欧州諸国も)さまざまな事件が「イランが犯人」等とは信じていない。今回のタンカー2隻への攻撃事件でも、各国は更なる証拠を米に要求し、イランが犯人と認定しなかった。米は賛同したのが米・英・サウジアラビア・イスラエルだけであったことにショックを受け、必死で賛同者を増やそうと足掻いた。各国は米の主張を信じていないのだ。ところが、いざトランプが戦争を始めると、これへの参戦が問題にならざるを得ない。「それでも同盟国か」「安保条約を破棄するぞ」との恫喝が加えられるだろう。イランに対するトランプの独りよがりで邪悪な戦争に参加し、イランを攻撃することになれば、それは憲法9条も平和主義も踏みにじって侵略国家に成り下がることを意味する。
 安倍政権は「専守防衛を維持する」と言葉でごまかして戦争法の侵略性、攻撃性を隠して人々を騙してきた。しかしここまでくれば本質が明らかだ。イランに対する米の侵略的戦争、政権転覆をめざしたボルトンやトランプの戦争に加担するための法律だ。
 戦争はどこまで拡大するかわからない。いくつも危険なシナリオがありうる。初めは護衛の駆逐艦をおくる。同時に哨戒機や哨戒ヘリなどか。さらにアフガン戦争でやったように米・多国籍艦隊への給油・物資補給部隊を出す。もしも米軍がイランに対して海から上陸作戦を行い、陸上部隊を送ることになれば、敵前での機雷掃海のために掃海艇部隊を送り最も危険な任務に就かせることになる。部隊はタンカーだけでなく(実際に戦争になればタンカーなど通らなくなる)、米軍基地と米兵を守るための盾に、さらにはイランの人民を殺すための殺人装置にされるだろう。
 私たちはイランに対する戦争に絶対に反対だ。そこには一片の正義も真実もない。イラン政権を自分の利害のために打倒するどす黒い野望があるだけだ。アメリカの侵略戦争には絶対に協力してはいけない。自衛隊の参戦はもちろん、派兵や協力そのものに反対だ。米国の侵略戦争加担のための戦争法の廃止を要求する。

2019年6月25日
リブ・イン・ピース☆9+25