11月11日の田母神前航空幕僚長の参考人質疑は、日本の自衛隊の中で、そして日本政府の中で起こっている極めて深刻な事態を明らかにしました。 田母神氏は、日本の天皇制軍国主義が行った侵略戦争を美化し、侵略戦争や植民地主義を「濡れ衣」とした論文を改めて「間違ったことは言っていない」と正当化しました。さらに「集団的自衛権も行使し、武器を堂々と使用したいというのがあなたの本音か」という質問に対しても「そうすべきだと思う」と答えています。前航空自衛隊トップが、歴史を歪曲して侵略戦争を正当化し、「憲法改正」「集団的自衛権の行使」を公然と主張するという異常事態です。しかも、論文は航空自衛隊全体に浸透していたことが明らかになりました。 さらに、“植民地支配と侵略によって多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた”という政府見解=「村山談話」を「言論弾圧の道具」などと批判したのです。政府見解によって(自衛官の)言論を統制するのはおかしい、箸の上げ下ろしまで規制されるなどと“シビリアンコントロール”を批判しています。 過去の侵略戦争の反省の上に立って戦争を放棄した日本国憲法が生まれ、軍の暴走を許さないために“シビリアンコントロール”がとりわけ厳しくかけられている――このような歴史的な経緯を踏みにじるものです。 私達は絶対に、放っておくことはできません。私たちはこの間、日本の植民地主義と侵略戦争で行った「慰安婦」問題で被害者への公式謝罪と国家賠償をもとめて運動を進めてきました。昨年夏よりアメリカ、カナダ、オランダ、EU議会などで決議が上がり、今年に入って韓国議会、台湾立法院、そして日本でも宝塚市、清瀬市、そして札幌市で決議が上がりました。国際的な流れが日本の侵略戦争の「慰安婦」制度という戦争犯罪を問題にし、日本の地方議会でも決議が上がってきているのです。なによりも被害をうけた当のハルモニ達が日本政府の責任を追及しています。田母神問題はこれらの動きを否定し侮辱し敵対するものです。これは田母神氏だけの問題ではありません。このような人物をトップに据えた日本政府の問題であり、放置し「円満退職」にした政府の問題です。 田母神氏の問題は、過去の侵略戦争の否定と現在の侵略戦争への加担が密接不可分であることを示しました。新テロ特措法の採決などもってのほかです。政府、防衛省に対して抗議の声を集中しましょう。 2008年11月11日 |
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