12月25日に出された「新勤評反対訴訟」の判決で、驚くべき不当判決が出されました。原告側の主張をまともに検討することなくことごとく退け、被告の主張をつぎはぎしさらには被告さえ主張していないような事実無根の論理で「評価育成システム」を正当化する内容です。新勤評反対訴訟団事務局より緊急声明が出されましたのでここに転載します。私たちは、教育への不当介入を排し公教育を守り、差別・選別教育を許さないため、今後も是非この訴訟を支えていきたいと思います。 2008年12月26日 [転載] 判決理由の大部分はまったく被告主張のままであり、その引き写しである。判決は、「勤務評定のあり方をどのようにするかは評価権者の裁量に属する問題」とし、多くの重大な問題点をすべて任命権者(被告)の「裁量権の範囲内」と断じた。原告は、法律、条例、規則と上位法の委任に基づかない「裁量権の逸脱」についても、詳細に論じてきた。しかし、判決は、上位法との委任関係についての検討さえ行うことなく、本件行政行為の内容を上位法に「特段の規定がない」ことを理由に、実施行政機関に事実上無制限の裁量権を与えることですべて適法とした。およそ、法治主義、法令主義の原則を投げ捨てたかのような裁判所の判断に唖然とするばかりである。 原告と被告の間で争点になり、被告が最後に答えることができなくなった諸点について、また、訴訟団が多くの陳述者や証拠で具体的に教育が不当な支配を被ると立証した点について、判決は何一つ立ち入った検討を行わなかった。その理由を説明することもなく、ただ判断を回避した。システムが目標管理の中でも最も教育現場に適さないタイプの「自己申告票と1対1面談」を恣意的に採用して行政・校長による教職員の支配に道を開いている点にもまったく触れていない。原告がこの裁判で最大の問題としたシステムが教育に行政の不当な介入をもたらし、子どもの教育を受ける権利を侵害しているという点にも何も答えていない。システムが教育に与える問題をまともに検討しなかった判決には怒りを禁じ得ない。 私たちは、判決を読んで大きな違和感を感じた。これは判決なのかという違和感であった。初めから被告支持の結論が決まっていて、それを押しつけるために、被告側主張の論理を継ぎ接ぎしただけではないかということである。被告支持の論理を組み立てたるために、被告が行ってきた主張を超える論理を裁判所が作り出しさえしている。判決の中で裁判官が自分で検討したと思われる部分は、被告主張の引き写しよりももっと悪い。システム導入によって実際には大半の教職員の昇給が従来よりも悪くなったのに、何の根拠もなく「悪くなるのは2%、3分の1がよくなる」と信じられないような事実に反する断定を行い、教職員の給与が全体として引き上げになることによって教員の士気が上がるよい制度だと認定するなど、いくつもの箇所で大阪府の主張を超えたり、事実に反することを事実として認定している。また、制度は「多面性・専門性を有する職員の職務の特殊性及び個々の教員だけでなくチームワークによって子どもたちへの教育を行っている」学校現場の特殊性に配慮したものであると断じているが、被告はこのような主張を行ってはいない。 私たちはこの判決は専門家による真剣な検討にも、歴史の批判に耐えられないと考える。私たちはこのような一方的で政治的な判決に怒りを抑えることができない。このような判決を受け入れることはできないし、判例として残しておくことはできない。私たちは即刻控訴の手続きをとり、大阪高裁に闘いの場を移して全力で闘いを続けたいと考えている。 教職員、保護者、市民の皆さんに今後ともご支援とご協力をお願いしたい。 2008年12月25日 |