感染症法・特措法改悪による罰則導入反対
政府と自治体の責任で、徹底した感染対策を

深刻さを増すコロナ感染拡大を招いたのは菅政権の責任

 現在日本では、年明け以降、コロナ感染が危機的状況を呈しています。累計感染者は1月13日に30万人を超えました。20万人を超えたのが12月下旬ですから、わずか数週間で10万人増加したことになります。感染者の加速度的急増に歩調を合わせるように、死者も急増しています。1月23日には、死者数がついに5000人を超えてしまいました。それも、わずか14日間で1000人増えるというハイペースの急増となっています。また、重症者も連日過去最多を更新し続け、ついに1000人を突破してしまいました。
 菅政権もあれだけ固執した「Go To」をあきらめ、1月8日には1都3県に緊急事態宣言を発出し、1月13日には2府5県を追加しました。
 このような中で、特に深刻なのが医療現場です。感染者の急増に伴い、病院の病床使用率・重傷者病床の使用率共に大阪府・神奈川県では9割に達し、事実上満杯状態になっています。そのため、救急車の搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難」事案がうなぎ上りとなっており、深刻な医療破綻に陥っています。この医療破綻のため、多くの感染者が、入院や隔離施設に行けず、「自宅療養」を強いられており、自宅での突然の急死が12月には前月に比べ5倍強と急増しています。事実上の命の選別が始まっているのです。
 このような深刻な事態に対し、政府・自治体はお互いの責任のなすり合いに終始するという本当に情けない状況となっています。

コロナ感染に対してはあくまで「ゼロ」を
(1)「ウィズ」では感染者・重傷者・死者を減らすことはできない
 コロナ感染において、第2波の後に「Go To」と共に言われたのが「ウィズコロナ」でした。しかし、この政策が破綻していることは火を見るよりも明らかです。あくまで「ゼロ」を目指さなければなりません。経済優先を合言葉に少しでも感染防止を緩めたり、中途半端にすれば、すぐに感染者の急増となってしまいます。現在の日本のそして欧米の惨状がそのことを雄弁に物語っています。同時に経済活動の制約で苦境に立たされている人への十分な補償すべきことは、言うまでもありません。
(2)コロナの変異が猛威を振るう
 コロナウイルスは、1週間に1度ぐらいの頻度で変異を繰り返すと言われています。自然淘汰の関係から、その変異の中で生き残っていくのは、より感染力が上がった変異種です。イギリス型、南アフリカ型、アメリカ型、ブラジル型等の変異種がすでに報告されており、どれも感染力が従来のものに比べ5割以上高くなっていると言われています。そしてイギリス型では致死率が従来のものに比べ5割強くなっている、南アフリカ型は「抗体」が効かないとの報告がそれぞれの国からされています。この点でも感染を極限にまで抑え込むことが早急に求められているのです。
 もう一つコロナウイルス感染で恐ろしいのが、後遺症です。何とか感染から回復したとしても、その7割の方が何らかの後遺症に悩まされるという研究報告がなされています。最も多い後遺症が倦怠感です。さらにこの研究論文の中では、「抗体」の有効期限が数カ月ではないかとの報告もされています。
 これらからしても早急な感染ゼロが必要となっています。
(3)十全な経済活動を行うためにもあくまでコロナ「ゼロ」を
 大阪府の吉村知事のように「ウィズコロナ」を言う人は、決まって「経済も重要」「経済を回さなければ」と声高に言います。しかし、実際の経済状況は「ウィズコロナ」が経済好転に役立たないことを物語っています。
 最も如実に表しているのが、2020年の主要国のGDPです。GDPが上昇となったのは、徹底して「コロナゼロ」を目指して抑え込んだ中国だけです。その他の国では、マイナス成長となっています。この歴然とした事実から、経済を十全に回すためにもコロナゼロを目指し、感染を抑え込むことが何より必要なことなのです。

罰則規定を設ける感染症法・特措法の改悪反対
 菅政権は、コロナ感染対策には無為無策を決め込んでいました。それどころか、「Go To」のような愚策を繰り返してきました。そしてあまりにも感染が広がった段階で緊急事態宣言を出し、形ばかりの「やってる感」を出そうとしています。しかしその内容は、「飲食店への午後8時以降の自粛要請」だけです。感染抑え込みには全く不十分です。
 このような中、あろうことか入院を拒否した患者には刑事罰を、保健所の調査に拒否・虚偽報告した患者には罰金を課すなどの、感染症法改悪を進めようとしています。同時に、時短要請に応じない飲食店には、罰則規定を設ける新型インフルエンザ特措法の改悪もあわせて推し進めています。
 私たちは、罰則導入に断固反対します。様々な事情で入院できない人や、生活のために要請に従えない飲食店をスケープゴートにし、政府の無策、愚策から批判の矛先をそらそうとするものです。「権力による私権の制限」を行い、「自粛警察」「マスク警察」をエスカレートさせ、「相互監視社会」を作り出すものです。
 特に感染症法の改悪は、ハンセン病患者に行った強制隔離といわれなき差別を彷彿(ほうふつ)とさせるものです。絶対に許すことはできません。日本医学連合会は、1月14日にすぐさま緊急声明を発表し、「罰則を伴う強制は国民に恐怖や不安・差別を惹起する」「科学的根拠が乏しいにもかかわらず患者・感染者の強制収容が法的になされた歴史的反省のうえに成り立つことを深く認識する必要がある」と訴えています。
 また、多くの人が、罰則ではなく、感染者には入院病棟を、時短要請の飲食店には十分な補償を、要求しています。「罰則ではなく生活支援を」と声を上げましょう。まず何よりも、政府が徹底した感染防止対策を行うことを、強く要求します。

2021年1月24日
リブ・イン・ピース☆9+25