沖縄県が示した民意と闘いに対して、菅政権による総攻撃とでも言うべき攻撃が加えられています。まだ知事選から1ヶ月も経っていない間に、仙谷官房長官が「基地を甘受せよ」と暴言を吐き、菅首相も「辺野古がベター」とまるで仲井真知事の「県外移設」の公約が無かったかのように基地移設を押しつけました。そして今度は、前原外相による普天間基地継続を前提とした周辺施設の移設発言、東村高江のヘリパット工事強行と再編交付金の不交付方針。民主主義国家として異常事態です。菅政権は恥知らずな強権的基地押し付け攻撃をやめるべきです。 “被害に遭いたくなかったら、住民は普天間周辺から出て行け”!? 前原外相は「普天間周辺施設の移転」という、人権蹂躙にも等しい犠牲を要求しています。前原外相は知事に対して、病院や学校など周辺施設の移設を要望してほしいと語りました。普天間基地の撤去ではなく周辺施設の撤去、周辺住民の移住を要求しているのです。前原外相は「移設先を決めるまでは普天間飛行場が使用され続けることになる。万が一、事故が起きた場合、被害を最小限にするため」とまで言っています。耳を疑いたくなるような言葉です。 普天間基地周辺は嘉手納基地の改修のための代替離発着基地として、そしてこの間の日米、米韓軍事演習でかつてない騒音被害がでました。周辺住民は、2004年の沖縄国際大のヘリ墜落事故のような事故被害におびえながら生活を送らざるを得ませんでした。それを前提にして、事故に遭いたくなかったら、早く移設先を決めろと恫喝をかけているのです。 北沢防衛相はこの発言を「批判」しましたが、その理由はなんと「米側に不快感を与える」、つまり、辺野古移設を断念すると米国に受け止められては困るということなのです。 ※移転発言 優先すべきは住民生活だ(琉球新報) ※前原氏「来月も沖縄へ」 仲井真氏「完全なすれ違いだ」(朝日新聞) ※北沢防衛相、前原外相の普天間「継続」発言を批判(朝日新聞) ※「基地ありき」に反発 学校・病院の移転言及で市民 「普天間撤去が最善」(沖縄タイムス) 政府がすべきことは宜野湾市民の立ち退きではなく、基地の縮小と閉鎖! クリアゾーン内に、住宅が密集し、保育園や学校、病院などが存在していることは深刻な問題であり、「航空施設整合利用ゾーン( AICUZ)プログラム」に違反しています。宜野湾市は昨年より、普天間基地のグアム移設の展望を明らかにして要請する一方、移設に至るまで即刻の危険除去のため、今年1月、米の「普天間飛行場マスタープラン」に基づき普天間基地の滑走路2700メートルの内、1000メートルをクリアゾーンとし、滑走路を1700メートルに縮小するよう政府に要請しました。民主党政権はこの要請を真剣に受け止め、米政府と交渉したのでしょうか。前原外相と民主党政権はこれに対してまず答えるべきです。事故の危険があるというのなら、基地内クリアゾーンの設置のために、米政府と即刻交渉にはいるべきです。 仲井真知事は、前原氏に対して「危険の除去には移設か閉鎖しかない」と答え、継続使用を拒否しています。 ※滑走路1000メートル縮小要請 宜野湾市長、月内にも(琉球新報) ※前原氏は、民主党代表であった2003年、宜野湾市が主催した「普天間基地問題シンポジウム」に出席し、「日米安保の根本的な見直しが必要だ。巨額の費用がかかり、基地の固定化につながる代替基地は必要ない。民主党は代替基地なしの返還をマニフェスト(政権公約)に掲げ、政権交代を実現すれば米政府との厳しい交渉にも臨みます。」と明確に語っている。 http://www.city.ginowan.okinawa.jp/2556/2581/2582/513.html (宜野湾市HP) ※普天間飛行場の危険性除去について(宜野湾市HP) 再編交付金をつかった卑劣な脅しをやめるべき 防衛省は、米軍再編推進法に基づく再編交付金について、保留となっていた名護市への2009年度の繰り越し分約6億円と10年度分約9億9千万円を交付しない方針を固めました。1月に基地移設反対派の稲嶺市長が誕生し、9月の市議会選で市長派が圧勝したことに対する報復であり、辺野古新基地建設反対の姿勢を貫く名護市へ制裁です。それは、そのような市政を選択した名護市民への制裁であり、決して許されることではありません。これは既に名護市へ交付されているべき予算であり、再編交付金を前提として組まれている継続事業分の予算であり、現市長の政策を理由にこれを交付しないことは、法的にも不当極まりありません。稲嶺進市長は、政府の不交付方針を強く批判しています。 このやり方は岩国基地への空母艦載機受け入れを拒否した井原前市長に対して、新市庁舎建設予算用の再編交付金を凍結し「兵糧攻め」で市政を追いつめたのと全く同じです。国策に反対する自治体にはどんな手段を使ってでも言うことを聞かせるという強権的なやり方を許すわけにはいきません。 ※名護に再編交付金なし 09・10年度分16億円(沖縄タイムス) 許されない!暴力的にやんばるの森に重機・資材搬入を強行 22日早朝には、裁判中は工事を凍結するとしてきた東村高江のヘリパッド予定地のフェンス工事を強行しました。 午前6時すぎから建設現場への進入路にフェンスを設置し、重機や資材を運び入れました。 23日午後8時前、米軍のヘリコプターが沖縄県東村高江の「ヘリパッドはいらない住民の会」のテントの上約15メートルの高さで1分間ホバーリング(空中停止)し、テントを破壊しました。テントの鉄製の足が曲がり、椅子1脚が約40メートル吹き飛ばされるという猛烈な風圧を受けたと報じられています。米軍ヘリがホバリングしたのはテントの上空約15メートルだったといいます。米軍が反対派住民に対していやがらせをしたのは間違いありません。しかしこれは人命に関わる大事件であり、沖縄の市民が米の軍用ヘリの攻撃でいつ殺されるか分からない状態に置かれていることを示しています。政府がヘリパット工事を強行したことがこのような事態を招いたのです。 広大なやんばるの森を巨大北部演習場にする工事を継続することは、沖縄の新基地ノーの民意を踏みにじるものです。 ※高江ヘリパッド、米軍ヘリ接近 1分間ホバリング、テント損壊(琉球新報) ※反対派テント 強風で損壊 高江ヘリパッド 米軍ヘリ ホバリングか(沖縄タイムス) ※[高江ヘリパッド]暗闇に乗じて基地建設(沖縄タイムス) ※やんばる東村 高江の現状 政府は、強権的な基地押し付け攻撃をやめよ! これでは、政府が米軍の力を借り、交付金と重機とヘリコプターを使って住民を追い出し反対運動を弾圧し、新基地を建設するようなもので、まるで1950年代に米軍が「銃剣とブルドーザー」で住民を追い出し、家を焼き払って基地を建設したのと全く同じです。 仮に菅首相の来春訪米までに、普天間基地移設の道筋を立てるために強行しているとしたら、管政権は、米オバマ政権のために政治をしていることになります。朝鮮民主主義人民共和国や中国を仮想敵とした危険な日米合同演習や新防衛大綱の策定など、国内世論や国会を無視した対米軍事協力と軍事化が急進行しています。 ※日米合同軍事演習「キーン・ソード」の危険(5) なし崩し的に憲法違反、「周辺事態法」さえ逸脱(リブインピースブログ) これに歯止めをかけるためにも、沖縄の民意を尊重し、暴力的で卑劣な基地押し付けをやめるよう要求しましょう。ありとあらゆる手を使って沖縄へ新基地建設を強要する菅政権に抗議の声を挙げましょう。 抗議先 首相官邸 TEL:03-3581-0101 FAX:03-3581-3883(目安箱) メール:ご意見募集 防衛省広報課 TEL:03-5366-3111 FAX:03-5269-3270 メール:infomod@mod.go.jp 在沖米国領事館 TEL:098-876-4211 FAX:098-876-4243 2010年12月24日 |