派兵の根拠は防衛省設置法に基づく「調査・研究」だが、これは全くのペテンだ。自衛隊の任務を規定する自衛隊法には「調査・研究」などない。防衛省設置法は役所である防衛省の事務管轄を定め、その4条(防衛省は次に掲げる事務をつかさどる)の18項は「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行う」とある。誰が見ても、自衛艦を派兵することが所轄事務などであるはずがなく、海外派兵の根拠にならない。こんなものが通用すれば国会の承認もなく、どこにでも派兵できる。政府による脱法行為そのものだ。 中東で戦争の危険を増大させるな 自衛隊を何のために中東に派兵するのか。調査・研究?冗談ではない。米がイランに戦争をしかけかねない地域に送るのだ。はじめから「攻撃された」時は「自衛」で武器使用も、艦砲射撃もOK。さらに「海上警備行動」で他の船舶護衛もできる。最後は米軍との集団的自衛権でともに参戦することを想定しているのだ。「調査・研究」とは自衛隊の収集した軍事情報を米軍に献上することだ。 最大の問題は、サウジアラビアがイランとの関係改善を模索し、米が軍事力での対イラン政策の行き詰まりを認め政策の修正を余儀なくされつつある時に、これをぶちこわすかのように軍艦や哨戒機をこの地域に派遣する事だ。安倍政権は、いまこそ海外派兵実績作りの好機、米にいい顔をするチャンスとみているのかもしれない。しかし自衛艦派遣は中東での軍事的緊張を高め、戦争の危険を高めるだけだ。中東のような地域に一旦派兵してしまえば、どんな形で戦争に加わることになるか分からない。絶対に派兵をやめさせよう。 9条改憲を阻止しよう 安倍首相は、2021年9月までの任期中に何としても憲法改悪を実現させたい。しかし参議院選挙の結果、改憲勢力は3分の2割れに追い込まれた。世論調査でも改憲賛成は少数派だ。それでも諦めようとしない。その核心は9条改悪にある。戦争法の下で、今やなし崩しで海外派兵が行われ、多国間で対中国戦争訓練が行われている。しかし、9条を変えて堂々と戦争できるようにしたいのだ。安倍がめざす戦争する国にさせてはならない。 自民党は今臨時国会で、国民投票法改定法案を成立を狙っている。ともかく何が何でも野党を憲法審議会の議論に引き釣りこみたいのだ。そうすれば後は数の暴力でごまかせると考えている。安倍首相にとって「議論を尽くす」とは形だけの議論をして強行採決に持ち込むことだ。野党は絶対に審議に応じてはならない。 生活そっちのけで自衛隊の派兵や改憲に突き進む安倍政権に対し、運動と野党の協力で闘おう。自衛隊の中東への派遣と9条改悪を阻止しよう。 2019年11月3日 |
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