映画「ひまわり 〜沖縄は忘れない あの日の空を〜」上映会報告

 3月31日(日)午後、大阪市内で映画「ひまわり 〜沖縄は忘れない あの日の空を〜」の上映会をリブ・イン・ピース☆9+25の主催で行いました。60数名が参加しました。
 この映画は、1959年6月30日「石川・宮森ジェット機墜落事件」と2004年8月13日「沖国大米軍ヘリ墜落事件」という45年を隔てて起こった学びの場への2つの米軍機墜落大事故を通じて、米軍基地が集中する沖縄の人々のおかれた状況と思いをリアルに描いたドラマです。
 2012年、沖国大に通う孫が、米兵の蛮行をきっかけに「ピーススカイコンサート」の開催に奔走する中で、祖父が長く封印してきた記憶を呼び覚まし、三線で島唄を歌いながら、宮森小学校事件の経験や生きてきた苦悩を聴衆に語りかけます。亡くなった級友の名を呼びながら「決して忘れてはならない」と声を振り絞る場面は圧巻です。
 米兵による犯罪、辺野古の埋め立てによる自然破壊、爆音による被害などが、生活し働き学ぶ人々の目を通して語られます。米軍基地で働く人々の葛藤や「本土」からきた学友との温度差、基地あるゆえの加害責任など、簡単にはいかない様々な問題が盛り込まれ、観る者を惹きつけます。特に、宮森小学校事件を経験した祖父を持つ良太と、父が米軍基地で働く恋人佳奈とのぎくしゃくした関係は、沖縄のおかれた厳しい状況の象徴でしょう。
 米軍機の爆音がするごとに「隠れろ」「逃げろ」と飛んでくるオバア。子どもたちは「バカか?」といいながら、オバアの心の中でいまだに凄惨な沖縄戦が続いていることを理解しています。沖縄戦、銃剣とブルドーザーでの占領、島ぐるみ闘争、「返還」後も占領下と変わらぬ米軍支配、新たな基地建設・・・歴史と現在がつながっています。この映画は、沖縄復帰40年の2012年に制作が開始され公開されましたが、7年経った今も全く古くなっておらず、むしろ今まさに問題になっている全てが生々しく表現されていることに驚くほどです。
 エンドロールに映画作成にカンパを寄せた多くの支援者、団体の名前が流れます。また今回の企画は、リブインピースの会員に加え、日頃交流のある若い人たちの協力を得て開催にこぎ着けることが出来ました。
 アンケートにも多くの方が書いてくださいました。会員からの紹介で、新聞の催し欄を見て、SNSを見て、街頭でチラシをもらってなど、様々なきっかけで集まってくださいました。いまこそ、全国各地で「ひまわり」の自主上映がされればと願います。

2019年4月22日
リブ・イン・ピース☆9+25


スタッフからの一言
 私にとって映画『ひまわり〜沖縄は忘れないあの日の空を〜』は初めて本当の沖縄を知るきっかけになった映画です。それまで沖縄に米軍基地があるのは知っていても、沖縄に対してはポジティブなイメージしかなく、「それに米軍基地があるから沖縄の人たちは潤っている」ぐらいの感覚も正直ありました。しかし、この映画を見て初めて米軍基地があるがゆえの事件、事故、被害、そして葛藤や苦しみを知り、今までの自分の無知さ、無関心さ、他人事感を否応なしに思い知ることになりました。
 『ひまわり』の上映会にあたり、県民投票が終わった後で米軍基地のことをとりあげるのもどうかと思ってみたり、今までリブインピースの上映会では沖縄の闘いのドキュメンタリー映画が多かったので『ひまわり』はちょっとあまい?初心者向け?すぎるかなぁという思いもありました。でもリブインピースの人たちみたいに沖縄連帯のプロばかりではないはず、私みたいな人もいるはずなどと思い、『ひまわり』の上映を提案してみたら、意外にあっさり受け入れてもらえました。
 それでも当日の上映会まで、そして上映が終わるまで不安でいっぱいでした。ところが上映後、会場から拍手が起こったことに驚き、思わず泣きそうになりました。会場の人たちみんなと思いを共有できたと感じたからです。
 会場の設営や進行などいろいろ不備もありましたが、参加してくださった方々やスタッフのみなさんのおかげで、無事上映会を終えることができました。ありがとうございました。(ふ)


アンケートに寄せられた「ひまわり」感想(年代別に整理しています)

20代
・映画を観て改めてオスプレイが上空を飛んでいるという現状が、私たちが思っている以上に恐怖を感じるなと思いました。

・どこかで自分とは関係のないことのように思っていたことが身近な問題であるということを強く感じることが出来たので良かったです。京橋で配っていたチラシを見て上映会に来させてもらいましたが、本当に来ることが出来て良かったと思っています。ありがとうございました。

・助かった被害者の後ろめたさや後悔、また残された家族や友人の思い、現在も飛び続ける米軍への思いや、現在も続く米軍基地勤務者やその家族の思いが、痛いほど伝わってきました。こんな辛い思いをする人たちをこれからも増やしてはいけないと改めて思いました。ありがとうございました。

・何か分かりませんが、小さなしぐさや眼差しに、役者さんたち一人ひとりが沖縄県民の気持ちを考えて伝えようと演じられているのが分かりました。レイプ事件や殺人、傷害事件、墜落事件。基地に守られて被害者は泣き寝入りするしかない現実や沖縄が背負わされているものの大きさ。それでも戦後の人々の間には笑いがあって、芸人や歌・踊りの力はすごいですね。楽しさだけじゃなく、怒りも悲しみもすべてを表すことができて。
「平和憲法ができた」「いつか基地がなくなる」と未来を語るシーンは、辺野古の埋め立て等、21世紀の現状と照らし合わして苦しくなりました。

30代
・大阪府民880万人は総懺悔するべきです。府警機動隊員の「土人」発言。

40代
・映画、二回目でした。宮森小学校の事故、数字で表されない被害。その当時おばあが戦闘機が飛ぶたんびに「逃げろ アメリカーがくる」とさけんでいたシーン。少年がおじいになって基地をにらんでいたところとかみると、何回も戦争や事故を思い出させる基地や基地被害に苦しみを感じます。それを包み込んで前に向こうとし続けている沖縄の人々の強さと苦しみと温かさと共にありたいと思います。

50代
・2012年にも観ましたが、その時よりも深く感動しました。そのころよりさらに一層沖縄の新基地建設が進んでしまっているから、さらにそのメッセージ性が強く心にひびいてくるからだと思います。できることをやっていきたいとの気持ちがあらためて強くなりました。

・沖縄の忘れてはいけない歴史が沢山ある。ひとつひとつが県民の心不覚に刻まれている。私たち本土にいる者は、この「歴史」のひとつでも同じくらいの気持ちを持って刻まれているだろうか。宮森小学校への墜落事件は、衝撃的でした。私たちは忘れてはならないのだ。今起きている沖縄の基地の状態、新たな新基地建設への怒りが、心の底から湧き上がりました。いい機会を与えてくださり、ありがとうございました。

・3月はじめに沖縄現地、宮森小学校に行ってきました。映画は、事故の事実を深められたと思います。これを観てから、もう一度現地に行きたいと思います。

・この映画を二度観ました。今回は前回よりも感動しました。2012年には、まだ宮森小学校の現場にも行っていなかったので、迫ってくるものがまだありませんでした。2012年から宮森小学校にも何回も行き、今回の映画は本当に感激しました。ありがとうございました。

60代
・小学校へのジェット戦闘機墜落事件は知りませんでした。映画としても、とても良かったと思います。

・深く心に染みました。この映画を取り上げてくれてありがとう。辺野古阻止の闘いへの決意を新たにしました。

・知っていた以上いい映画でした。わかりやすいし、人々の葛藤も描かれているし。是非、若い人にこの映画を見てほしいと強く思いました。ありがとうございました。

・本当の沖縄、沖縄の人々の生活と気持ち、そして米軍基地が沖縄の重圧になっていることがよくわかる、とてもいい映画でした。

・一応の事実は知っていたが、生活していた様子の中の個人個人が出会った突然の惨事やその後の人生に与えた深い傷跡も含めて、理解することができた。また基地とくらす現在の沖縄が抱える矛盾にも目が向くように、多面的に描かれていて良かったと思う。

・沖縄が抱えている問題について、多岐にわたる視点で考えさせられる映画でした。基地で働く人、家族の思いについても、ふれられており、良かったです。ヤマトに住む我々こそが今真剣に取り組まなければならない沖縄のこと、改めて考えさせられました。たくさんの人にこの映画を観てほしいです。

・用事で、映画途中から観ました。それでも若い力を感じるよい映画でした。私たち年上世代は負けてばっかり、悔しいことばかりですが、若い人たちも張り切っていると感じました。

70代以上
・沖縄の力強い心が若い人に伝わって、私もそれを見習って、強く生活します。上映ありがとうございます。

・沖縄の運動と意識の底深さと広がりを実感しました。歴史の継承のされ方と歌や踊りをまじえた温かさが豊かさと本物の強さになっているように思います。

・沖縄の悲しい歴史、重くなりすぎないように、若い人たちの心意気と大人の応援を、頼もしく、感激しました。

・戦争体験者、その人たちからの話を聞いて、想像できる人々の減少もあるだろうから、反基地闘争も大変だろうとは思う一方、本土の私たちはもっと感性的に基地の存在する沖縄の人々の苦しさ、辛さが実感できず、今回のような企画の必要性を痛感しました。

・沖縄の人たち、基地の存在が、若い人たちの力強い言葉、唄と一緒にとても印象的でした。被害のこと、加害のこと、今の社会のことが盛り込まれていて、とても身近に思いをよせることが出来ました。

・若い世代の人々の思い、置かれた状況、考えなどに関心を持たないといけない、もてるような気分もした。私は、若い人たちに“ありがとう”というオジイの言葉が印象に残った。

・何をすれば、沖縄の心が安倍政権に届くのでしょうか。オスプレイ、イージスアショアをやめればもっと社会福祉に回せるのに・・・・。マヨネーズ状の大浦湾(辺野古)に基地は出来ませんよ・・・・ネ?

・タイトルコールで、たくさんの人たちの支援で制作されたことを知りました。制作から7年経って、沖縄の闘いは広がっていると実感していますが、辺野古の工事強行など、米軍基地、自衛隊基地の強行増設など、一層戦争する国の礎に沖縄がされている。この映画は、作られたときと全く古びず、今の状況そのままです。宮森小、沖縄国際大の被害がこの映画でよりリアルに理解できました。

・今まで、沖縄に観光で行っていました。〜が戦中も現在も本土の盾としての沖縄で現地の方々は、今も人権を脅かされている。私たちも共有して、基地をなくす運動を支持していきたい。

・又、良いのをやってください。